スポーツクラブ大手の2021年4~6月期(第1四半期)決算が出そろった。新型コロナウイルス感染拡大の第一波の影響を受けた前年同期に比べると、売上高は倍増するところが相次いだものの、それでもコロナ前の2019年の6~7割の水準にとどまり、赤字圏からの脱却もままならない状況だ。
4~6月期は4月末に3度目の緊急事態宣言が出され、東京都、大阪府、京都府、兵庫県では自治体からの休業要請に伴い、5月末まで営業休止を余儀なくされた。コロナ禍が長期化する中で、入会者が低迷する一方、会員の退会・休会が下げ止まらず、会費収入を直撃する状況が続いている。
コナミホールディングス傘下のスポーツ事業(コナミスポーツクラブ)の4~6月期の部門業績は売上高が97%増の93億円、営業損益が3億円の赤字(前年同期は64億円の赤字)だった。営業損益は休業期間中の固定費など新型コロナ関連損失9億円を含む。
コナミは不採算店舗を中心に今年だけで25店舗(2月9店舗、5月16店舗)を閉店。6月時点の直営店舗は141店舗で、1年前に比べると37店舗の大幅減となった。他方、首都圏、大阪府では自治体などから新たに22施設の運営を受託。コナミの運営受託は200施設を超え、直営店舗数を大きく上回る。
セントラルスポーツは売上高74%増の92億8200万円でコナミとほぼ並ぶ。直営店舗は180店舗となり、大量閉店のコナミと入れ替って業界トップに立った。
ルネサンス、ティップネス(日本テレビホールディングス傘下)、メガロス(野村不動産ホールディングス傘下)はそろって前年同期から2倍以上売上高を増やした。東海地区を地盤とするホリデイスポーツ(東祥のスポーツクラブ部門)は71%増だった。大幅増収に伴い、ルネサンスの営業赤字幅は19億円から4億円に縮小した。
1年前の2020年4~6月期は最初の緊急事態宣言を受け、全国規模で一斉休業に追い込まれ、6割から8割近い記録的な売り上げ減に見舞われ、赤字転落が続出した。こうした大底からは脱したものの、足元では回復テンポが鈍いのが実情だ。
売上高をコロナ前の2019年4~6月期と比べると、コナミ60%、セントラル63%、ルネサンス74%、ティップネス52%、ホリデイスポーツ56%、メガロス69%にとどまり、その度合いもマチマチだ。とりわけ、ティップネスの足取りが重い。
スポーツクラブ各社は6月から全国的にほぼ通常営業を再開したが、新入会員の獲得、会員の継続促進、休会者・退会者の早期復帰に向けた攻めの活動も思うに任せない状況が続いている。コロナ感染の収束が見通せない中、各社の業績が正常化に向かうまでにはなお時間を要しそうだ。
◎スポーツクラブ大手の2021年4~6月期業績(単位億円、△は損失)
売上高 | 営業利益 | 直営店舗 | |
コナミスポーツ | 93(97%増) | △3(-) | 141 |
セントラルスポーツ | 92.8(74%増) | 0.86(-) | 180 |
ルネサンス | 82.1 (115%増) | △4(-) | 101 |
ティップネス | 48.9(138%増) | △9(-) | 170 |
ホリデイスポーツ | 29.5(71%増) | 非開示 | 101 |
メガロス | 29.2(150%増) | 非開示 | 51 |
※コナミスポーツはコナミHD、ホリデイスポーツは東祥、メガロスは野村不動産HDの部門業績に基づく。ティップネスの店舗数には24時間ジム「FASTGYM24」110店舗を含む。
文:M&A Online編集部
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