M&A業界で驚きの大型M&A、「助言」国内最大手のGCAが米企業の傘下に

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GCAが本社を置くビル(中央、東京・丸の内)

M&A業界で大型M&Aが勃発した。M&A助言(アドバイザリー)で国内最大手のGCAが米有力投資銀行フーリハン・ローキーの傘下に入ることになった。GCAといえば、日本における独立系M&A助言会社の草分け的存在。2015年に経営破たんした航空会社スカイマークの会長を引き受け、同社を再建に導いた佐山展生氏が創業したことで知られる。

681億円投じ、GCAを完全子会社へ

フーリハン・ローキーは8月4日、GCAに対してTOB(株式公開買い付け)を始めた。買付価格は1株1380円。全株式取得による完全子会社化を目指している。買付代金は最大681億円で、GCAの純資産額の約3倍に相当する。GCAはTOBに賛同しており、友好的買収の構図だ。買付期間は9月27日まで。TOB成立後、GCAは東証1部への上場が廃止となる見通し。

フーリハンは日本・アジアで実績を持つGCAを取り込み、M&A助言をはじめとする投資銀行業務のアジアでのプレゼンス(存在感)を拡大する。一方のGCAも、日本企業による国境を越えた企業買収・事業再編のニーズがコロナ後を見据えて一層強まると予想される中、グローバルなサービス体制を充実させる好機と判断したようだ。

これまでGCA自身も積極的に海外M&Aに取り組み、2008年に同業の米サヴィアを買収し、北米市場に基盤を確保。最近では2016年に英国のM&Aコンサルティング会社、2020年に同じく英国のM&A助言会社を買収し、欧州の拠点網を手に入れた。この結果、現在、米欧、アジアに25拠点(うち国内5拠点)を構えるまでになった。

ところが今回、攻守が入れ替わり、GCAが買収を受け入れることになった。M&A分野における日米連合の誕生を意味するとはいえ、外資の軍門に下る事実は変わらない。「互いに独立系で、ケミストリー(相性)が合ったのだろう」とある業界関係者は指摘する。

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かつはオリックス傘下だったフーリハン

GCAは2004年に特定の銀行・証券グループに属さない独立系のM&A助言会社としてスタート。2006年に東証マザーズにM&A事業者として初めて上場(2012年から東証1部)した。

一方、フーリハンは1972年に独立系の投資銀行として設立。M&A、証券資金調達、財務リストラクチャリングなどに関する助言を業務分野とし、米国をはじめ欧州、アジア、中東、豪州に23拠点を持つ。その歴史をひも解くと、実は日本企業と関係が深い。

オリックスがフーリハンを買収したのは2006年。2015年にフーリハンがニューヨーク証券取引所に上場する際、オリックスが株式を一部売却し、連結子会社から外れた経緯があり、その後、2019年にオリックスは残り保有株式を売却した。

注目される渡辺代表の去就

今後、注目されるのはGCAの渡辺章博代表の去就。GCAは渡辺氏と、国内投資ファンドの老舗であるユニゾン・キャピタルを創業(1998年)した佐山展生氏が共同で設立した。佐山氏は2006年にGCAを離脱し、投資ファンドのインテグラルを新たに立ち上げ、投資先の一つだったスカイマークの再建を陣頭指揮した。渡辺氏が佐山氏に倣い、投資する側に転身することも十分に考えられる。

現在、M&A業界で上場しているのは6社。GCAは助言業務、日本M&Aセンター、M&Aキャピタルパートナーズ、ストライク、オンデック、名南M&Aの5社は仲介業務を主力とする。助言業務は買収か売却の一方の側に立って交渉を進める。これに対し、買収と売却の間に立って交渉を進めるのが仲介業務で、規模が比較的小さい案件や事業承継関連で主流となっている。

文:M&A Online編集部

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