子ソフトバンクの株価は公募価格1,500円を一度も上回らず

上場の2週間ほど前に、子ソフトバンクは大規模な通信障害に見舞われました。日本全域の3060万回線に影響し、4~5日の間で1万件の解約がありました。

さらに同時期、アメリカ、ヨーロッパを中心にファーウェイ排除の動きが強まりまったのです。ファーウェイのCFO孟晩舟氏は、対イランの金融取引に関与した疑いで逮捕されました。そこから、同社の端末にはスパイウェアが組み込まれているなどの一部報道があり、世界的に排除の動きが強まりました。子ソフトバンクは、サプライチェーンの見直しに迫られて原価が膨らむとみられ、投資家から警戒されました。

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最先端技術への投資を加速する親ソフトバンク

こんな逆境の中でも、上場前の子ソフトバンク株は売れました。証券会社の営業マンの血のにじむような努力と、投資家の孫正義氏への期待感の現れです。

そして12月19日に上場。初値は1,463円でした。騰落率は-2.47%。上場から2カ月ほどたち、株価は公募価格1,500円を一度も上回ることはありませんでした。

子ソフトバンク株を買った投資家が肝を冷やす中、孫正義氏が驚くべき2兆円の使い道を明らかにしたのです。

以下は孫正義氏の発表と、子ソフトバンクの個人投資家の心境を表したものです(筆者の想像です)。

  • 孫正義氏:「2兆円のうち、7000億円は新規投資に充てる」
  • 投資家:「なるほど。まあ、海外ベンチャーへの投資か、最先端企業の買収資金にするんだろうけど、子ソフトバンクにどれだけ恩恵が……?」
  • 孫正義氏:「7000億円は親ソフトバンクの負債返済に充てる」
  • 投資家:「え? 親の借金返済に、俺たちのカネが?」
  • 孫正義氏:「あと、6000億円は親ソフトバンクの自社株買いで」
  • 投資家:「へ? 子ソフトバンクの株価がこれだけ低迷してるのに?」
  • 孫正義氏:「だって、親ソフトバンクの株価は低すぎるし!」
  • 投資家:「ああ、俺たちはただあの人のATMだったのか……」
  • 孫正義氏:「大丈夫、子ソフトバンクはじきに増配して株価は上がるから」
  • 投資家:「(沈黙)」


親ソフトバンク株は12月26日に6,803円の安値をつけていました。これは、米国の主力株が軒並み全面安になった影響を受けたもの。ソフトバンクビジョンファンドの損益悪化を警戒する動きでした。

低迷した株価をまさかの方法で反転させる手法は、サプライズ好きな孫正義氏にふさわしいやり方です。親ソフトバンクの株価は8,462円(6日:発表の日)から11,035円(13日)まで30%上昇。更なる上昇も期待されています。

一方、子ソフトバンクの株価は6日に1,322円をつけ、13日は1,297円でした。

親とは違い、子ソフトバンク株は好材料に乏しい状態が続きそうです。そもそも、通信事業はそれほど人気のあるセグメントでもありません。KDDIのPERは10.2倍、ドコモは12.7倍です。子ソフトバンクは14.8倍。仮に子ソフトバンクのPERが12倍だった場合、株価は1,052円になる計算です。

孫正義氏が仕掛けた2兆円もの壮大な資金調達。子ソフトバンクに期待して資金を入れた投資家は、親ソフトバンクの自社株買いに失望する結果となりました。次なるサプライズは、子ソフトバンクにやってくるのか。意気消沈した投資家が、次の動きを待ち望んでいます。

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