光村印刷<7916>は15日、昨年10月に買収して連結子会社化した新村印刷(東京都千代田区)で30人程度の希望退職者を募集すると発表した。新村印刷の全従業員の約2割を削減する。対象となるのは44歳以上の従業員で、退職日は3月31日。経営再建中の新村印刷は昨年5月に本社不動産を売却するなどリストラに取り組んでおり、今回の人員削減もこの一環。

昨年10月に17億円で買収

光村印刷は「グループにおけるシナジー(相乗効果)を生み出すためには、事業規模に応じた人員体制の再構築と年齢構成の是正が不可欠であると判断した」としている。

希望退職者の募集期間は2月18日~3月1日。退職者に退職加算金を支給するほか、再就職支援を行う。

新村印刷本社(東京・九段)

光村印刷は昨年10月1日付で新村印刷の全株式を取得して傘下に収めた。同社として過去最大のM&Aで、約17億円を投じた。新村印刷を取り込むことで新規分野への進出と既存分野での相互補完を狙った。

1947年設立の新村印刷は包装・パッケージ印刷を強みとし、製薬・ヘルスケア関連を中心に有力顧客を抱える。光村印刷は出版印刷、商業印刷(ポスターやパンフレットなど広告宣伝物)、新聞印刷、POP印刷、フォーム印刷(帳票、証券類)などを幅広く手がけるが、これまで空白だったのが包装・パッケージ印刷。

既存分野では商業印刷など重複事業がある一方、光村印刷がもともと美術印刷を祖業とするのに対し、新村印刷は地図で実績を持ち、事業のすそ野が広がった。

光村印刷自身も3年前に希望退職者を募集

国内印刷市場は活字離れやIT化による紙の印刷物の需要減が続き、この20年間で約4割縮小し、生き残り競争が激化している。新村印刷を傘下に収めた光村印刷は1901(明治34)年の創業から120年近い歴史を持つ中堅どころだが、経営は決して安泰とはいえない。

当の光村印刷も3年前の2016年のこの時期、グループ全体で40歳以上の従業員を対象に50人程度の希望退職者を募集した。従業員の約8%にあたる71人が応募し、2億2000万円の特別損失を計上した。

光村印刷の2019年3月期業績予想は売上高177億円(前期比7.4%増)、営業利益1億3000万円(同50.8%減)、最終利益未定(前期2億1800万円)。昨年10月に子会社化した新村印刷が寄与し、増収となるものの、利益面は厳しさを増す状況だ。

一方、新村印刷の直近業績(2018年5月期)は売上高30億円。5年間で3割減少し、この間に3度の最終赤字に強いられている。昨年はついに本社不動産の売却に踏み切り、さらに光村印刷の傘下入りし、事実上“身売り”の道を選んだ。

ポストM&Aの道筋がいよいよ問われる

光村印刷は新村印刷における今回のリストラを踏まえ、グループ内のシナジー創出などポストM&Aの取り組みがいよいよ問われることになりそうだ。

文:M&A Online編集部