2019年1月23日に業績の下方修正をした日本電産<6594>が、M&A戦略に変更のないことを示した。

同社は2019年1月31日に子会社の日本電産シンポを通じて、ドイツの大型減速機メーカー・デッシュ・アントリープステヒニク社の70%の株式を取得し、子会社化した。

業績の下方修正の際に「甘く見てはいけない」と、景気の先行きに警鐘を鳴らした日本電産の永守重信会長の発言は、テレビや新聞で繰り返し報道され、同社の動向に関心が集まったが、M&Aについては計画通りであることが確認できた。

63社目のM&Aはいつ

日本電産は2018年10月23日に2019年3月期の売上高を前年度比7.5%増の1兆6000億円、営業利益を同16.9%増の1950億円としていたのを、2019年1月23日に売上高を同2.6%減の1兆4500億円、営業利益を同13.1%減の1450億円に下方修正した。わずか3カ月で売上高は1500億円、営業利益は500億円も減少した。

その理由について日本電産では、米中の貿易摩擦の影響などにより、2018年11月以降の大幅な需要減と在庫調整を挙げた。同社の2019年3月期第3四半期(2018年4月―2018年12月)の業績は売上高、営業利益とも過去最高を更新しており、1500億円もの売り上げと500億円もの営業利益が消えてしまう業績の急悪化は2019年1月から3月の間に発生することになる。

それでも日本電産では2020年を最終年度とする中期戦略目標「Vision2020」の内容は変更しておらず、期間中の新規M&A投資額5000億円を維持した。

業績下方修正後初めてのM&Aが今回のデッシュ社の案件だ。デッシュ社の主力製品は工作機械、建機、農業機器、プレス機用向けの大型精密減速機やクラッチ、ブレーキなど。

日本電産シンポは2018年8月にやはりドイツの減速機メーカーであるグレスナー社を買収しており、小型精密減速機の事業領域を広げていた。今回は大型の減速機を手がけるメーカーの買収のため、日本電産シンポはこれまでの小型精密減速機メーカーから総合減速機メーカーに昇格することになる。

デッシュ社の従業員は約400人で、2018 年 12 月期の売上高は9290万ユーロ (約 121 億円)の見込み。デッシュ社の買収価格は公表していない。

日本電産では今回の買収で、日本電産グループが持つアジアや米国での販売・サービス網を活用し、デッシュ社の大型減速機を拡販するとともに、日本電産シンポの小型減速機などの製品をデッシュ社の顧客に販売できる効果が期待できるとしている。

日本電産のM&A件数は今回で62社目となる。63社目がいつになるのか、注目だ。

文:M&A Online編集部