ソフトバンクグループ(以下:親ソフトバンク)<9984>の株価が急上昇しています。6日に8,462円で引けた株価は、13日に11,035円までおよそ30%上昇しました。これは親ソフトバンクが、6000億円の自社株買いを発表したため。子会社のソフトバンク(以下:子ソフトバンク)<9434>の上場により、親ソフトバンクは2兆円もの資金を市場から吸収ました。その資金を、自社の株価を上げるために使ったことになります。

子ソフトバンクのIPOに参加した投資家は、親ソフトバンクの株価上昇施策に資金を投じたことを非難しています。それもそのはず、子ソフトバンクの株価は一度も公募価格を上回っていないからです。

親会社だけが得をする仕掛けられた子会社IPO

もともと子ソフトバンクの上場は、親ソフトバンクが得をする仕組み。最初から株価が上がりにくい要素が詰まっていました。

どういうことか見てみましょう。一部から批判が出ていた理由がわかると思います。

売り出された株式数、公募価格、市場吸収金額はこのようになっていました。

公開株式数公募株:0株
売出株:1,764,063,100株
公募価格1,500円
吸収金額2兆6460億円(税引き後の金額はおよそ2兆円)

凄まじい規模のIPOです。大型上場としてよく知られる、LINE<3938>1320億円、九州旅客鉄道<9142>4160億円、ゆうちょ銀行<7182>6000億円などと比べても、桁違いの大きさだったことがわかります。そもそも、吸収金額が大きい場合、株価は上がりにくい傾向があります。株式の流通量が多く、希少性が薄れるためです。

そして公開株式数を見るとわかるとおり、子ソフトバンク上場はすべて売出株でした。IPOで売り出す株式には2種類あります。公募株と売出株です。

公募株は上場する企業が新規で株を発行して、投資家に買ってもらいます。それにより、新規で上場する企業に成長するための資金が入ってきます。一方、売出株は、既存の株主が保有している株を流通させて資金を得るものです。上場する企業に成長資金が入らないことから、投資家からは嫌われます。

複雑化するビジネスモデル(決算説明資料より)
複雑化するビジネスモデル(決算説明資料より)

上場で得られた税引き後の調達額およそ2兆円は、すべて親ソフトバンクに入りました。今回の子ソフトバンク上場は、株価が上昇しにくい条件がそろっていたのです。

そしてさらに、上場が本格化してから逆風が吹き荒れました。それも、2度です。

  • ①通信障害
  • ②アメリカ、ヨーロッパのファーウェイ外し