日立製作所<6501>が攻守で活発な動きを見せている。英国の原子力発電所新設計画を凍結する「守り」の策と、スイスABBの送配電事業の取得、台湾のエレベーターメーカーの買収という「攻め」の策を相次いで打ち出した。

ABBの送配電事業の取得に投じる金額は7140億円(2018年12月17日発表)、英原発新設計画凍結により発生する特別損失は3000億円(2019年1月17日発表)、台湾メーカーの買収に投じる金額は766億円(2019年1月16日発表)と、この1カ月ほどの間に1兆円を超える案件を決めた。

それぞれの案件を見てみると、日立の狙いが見えてくる。

巨額損失のリスク解消

英国の原発新設計画は安全対策のための工事費が大きく膨らんだことから採算が悪化。「経済合理性の観点から(凍結を)判断した」という。この間、英国政府との間でさまざまな交渉を続けたものの、合意には至らなかった。

原発事業を手がける米国のウエスティングハウス関連で1 兆円規模の巨額損失を被った東芝の二の舞を避けた格好だ。それでも計画凍結に伴う損失が3000億円発生する。このため2019月3月期の連結当期利益は4000億円から4分の1の1000億円に減少する。

日立製作所は中期経営計画で2019年3月期の当期利益の目標を4000億円としていたが、この数値目標の達成よりも巨額損失のリスク解消を優先した。

巨額損失のリスクがなくなった同社では「今後も英国のエネルギー政策に貢献するとともに、日本国内でも原発の早期再稼働や福島第一原子力発電所の廃炉に協力する」としており、原子力事業に前向きな姿勢を示す。身軽になった日立が次にどのような手を打ってくるのか、注目が集まる。