NEXT STORY
【アシックス】北米ランニング市場で巻き返しへ、3年ぶりにM&A
アシックスが北米市場での巻き返しに向け、新たなM&Aを繰り出した。カナダ企業からレース登録サイト事業を約30億円で買収することを決めた。2018年12月期は海外子会社ののれん減損などで20年ぶりの最終赤字に沈んだ。復活ののろしは?
新型コロナウイルスの影響で業績が悪化していたアシックス<7936>、ミズノ<8022>、ヨネックス<7906>のスポーツ用品メーカー大手3社が揃って回復の兆しを見せている。
各種競技で小規模大会やイベントが実施されていることや一部商品では海外でも売り上げが伸びたことなどから、落ち込んだ業績が戻りつつある。
感染リスクの少ないゴルフなどの屋外のスポーツでは用具販売が前年実績を上回る現象もあり、外出自粛や巣ごもりなどのストレス解消にスポーツが果たす役割は大きそうだ。
ただ、海外で新型コロナウイルス感染症が拡大しているほか日本でも第3波の感染拡大が懸念されており、このままスポーツ用品メーカーが回復軌道に乗れるのかは予想が難しい。
2021年7月から9月に実施される東京オリンピック・パラリンピックに向け、スポーツにはフォローの風が吹くだけに、各社ともうまく風に乗りたいところだが…。
シューズを中心とするランニング関連に強みを持つアシックスは、2020年11月6日に2020年12月期の業績予想を修正した。欧州や中華圏でランニング関連が好調に推移したほか、販管費の削減も進んだのが理由で、2020年8月に公表した見通しと比べ売上高は200億円多い3200億円(前年度比15.4%減)を見込む。
営業損失は80億円減の60億円(前年度は106億3400万円の利益)に、経常損失も80億円減の90億円(同101億100万円)に、当期損失は50億円減の170億円(同70億9700万円)にそれぞれ改善する見込み。
同社では2020年2月に2020年12月期の業績予想を公表したが、新型コロナウイルスの影響を考慮し、5月に見通しを未定に変更していた。
【アシックスの2020年12月期の業績予想推移】単位:億円
2020年12月期 (2020年2月14日発表) |
2020年12月期 (2020年5月22日発表) |
2020年12月期 (2020年8月13日発表) |
2020年12月期 (2020年11月6日発表) |
|
売上高 | 4000 | 未定 | 3000 | 3200 |
営業損益 | 90 | 未定 | △140 | △60 |
経常損益 | 80 | 未定 | △170 | △90 |
当期損益 | 40 | 未定 | △220 | △170 |
野球やゴルフ、競泳などの用品を手がけるミズノは、2021年3月期の業績予想を未定としていたが、2020年11月6日に見通しを公表。売上高は1500億円(前年度比11.6%減)、営業利益15億円(同76.1%減)、経常利益25億円(同58.8%減)、当期利益15億円(同67.6%減)と大幅な減益となるものの、黒字を確保できる見込み。
同社が2020年8月に発表した2021年3月期第1四半期決算では営業、経常、当期の全段階で赤字に陥ったものの、欧米でゴルフが健闘したことや、企業にユニフォームやシューズを提供するワークビジネスが好調に推移し、11月6日に発表した2021年3月期第2四半期決算で経常、当期が黒字に転換したことから、通期では全段階で黒字の見通しに変更した。
【ミズノの2021年3月期第1、第2四半期と2021年3月期通期の業績予想】単位:億円
2021年3月期第1四半期 (2020年8月7日発表) |
2021年3月期第2四半期 (2020年11月6日発表) |
2021年3月期通期 (2020年11月6日発表) |
|
売上高 | 286.57 | 662.43 | 1500 |
営業損益 | △18.42 | △9.03 | 15 |
経常損益 | △16.95 | 0.84 | 25 |
当期損益 | △10.97 | 1.25 | 15 |
バドミントン、テニス、ゴルフが主力のヨネックスは、2021年3月期第2四半期の業績を11月10日に修正。売上高は220億9300万円(前年同期比30.6%減)、営業損失は2億1500万円(前年同期は17億1100万円の利益)、経常利益は1億4400万円(前年度比90.7%減)、当期損失は7300万円(前年同期は11億6900万円の利益)とした。
テニスの契約選手の活躍などもあり8月12日に発表した2021年3月期第2四半期の見通しからは5.2%の増収となり、損益は営業、経常段階で6億円強、当期段階で5億円強改善する。
2021年3月期通期については、海外で新型コロナウイルス感染症の再拡大がみられることや、室内競技である主力のバドミントン事業の回復が遅れていることから、8月の見通しを据え置いた。
【ヨネックスの2021年3月期第2四半期と2021年3月期通期の業績予想】単位:億円
2021年3月期第2四半期 (2020年8月12日発表) |
2021年3月期第2四半期 (2020年11月10日発表) |
2021年3月期通期 (2020年8月12日、 11月10日発表) |
|
売上高 | 210 | 220.93 | 500 |
営業損益 | △9 | △2.15 | △9 |
経常損益 | △5 | 1.44 | △4 |
当期損益 | △6 | △0.73 | △5 |
文:M&A Online編集部
これが、M&A(企業の合併・買収)とM&Aにまつわる身近な情報をM&Aの専門家だけでなく、広く一般の方々にも提供するメディア、M&A Onlineのメッセージです。私たちに大切なことは、M&Aに対する正しい知識と判断基準を持つことだと考えています。M&A Onlineは、広くM&Aの情報を収集・発信しながら、日本の産業がM&Aによって力強さを増していく姿を、読者の皆様と一緒にしっかりと見届けていきたいと考えています。
アシックスが北米市場での巻き返しに向け、新たなM&Aを繰り出した。カナダ企業からレース登録サイト事業を約30億円で買収することを決めた。2018年12月期は海外子会社ののれん減損などで20年ぶりの最終赤字に沈んだ。復活ののろしは?