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赤字転落の「牛丼」大手3社 回復には明暗が
ゼンショーホールディングス、吉野家ホールディングス、松屋フーズホールディングスの牛丼大手3社の第1 四半期決算が出そろい、3社ともに営業損益、経常損益、当期損益がいずれも赤字に陥った。
ゼンショーホールディングス(HD)<7550>、吉野家ホールディングス(HD)<9861>、松屋フーズホールディングス(HD)<9887>の牛丼大手3社の収益力に差が現れてきた。
3社ともに新型コロナウイルスの影響で上半期はいずれも赤字に転落(ゼンショーHDは見込み)したものの、ゼンショーHDの2021年3月期は、営業、経常、当期の全段階で黒字を確保する。これに対し、吉野家HDの2021年2月期、松屋フーズHDの2021年3月期は全段階で赤字から抜け出せない状況だ。
この予想を裏付けるように、ゼンショーHDが運営する牛丼店「すき家」の2020年10月は、今期初めて売上高、客数ともに前年同月実績を上回った。一方、吉野家HDの10月の売上高は前年同月実績をクリアしたものの客数は90%台、松屋フーズHDは売上高が90%台、客数は80%台にとどまった(いずれも既存店)。
黒字を確保するゼンショーHDと、赤字転落が避けられない吉野家HD、松屋フーズHDとの差はどこにあるのだろうか。
松屋フーズHDが2020年11月4日に、未定としていた2021年3月期の業績予想を公表。これによって3社の通期見通しが出そろい、ゼンショーHDの収益力の強さが浮かび上がってきた。
その松屋フーズHDの2021年3月期は、売上高が950億円(前年度比10.8%減)、営業損失は22億円(前年度は50億7900万円の利益)、経常損失は19億円(前年度は54億3800万円の利益)、当期損失は26億円(前年度は26億400万円の利益)の見込み。
同社では新型コロナウイルス感染症発生前の水準への回復には、時間がかかるとみており、新商品の投入による店内売上高の回復や、テイクアウト需要に対応した弁当販売の強化などにより、売上高の回復を目指すとしている。
【松屋フーズHDの業績推移】単位:億円、2021年3月期は見込み
2020年3月期 | 2021年3月期 | |
売上高 | 1065.11 | 950 |
営業損益 | 50.79 | △22 |
経常損益 | 54.38 | △19 |
当期損益 | 26.04 | △26 |
吉野家HDの2021年2月期は、売上高が1723億円(前年度比20.3%減)、営業損失は87億円(前年度は39億2600万円の利益)、経常損失は78億円(前年度は33億6900万円の利益)、当期損失は90億円(前年度は7億1300万円の利益)の見込み。
同社でも今期中に前年の水準にまで回復することは難しいと見込んでおり、下半期に新商品の投入や各種のキャンペーンを実施することで、業績の回復に取り組む。
【吉野家HDの業績推移】単位:億円、2021年2月期は見込み
2020年2月期 | 2021年2月期 | |
売上高 | 2162.01 | 1723 |
営業損益 | 39.26 | △87 |
経常損益 | 33.69 | △78 |
当期損益 | 7.13 | △90 |
ゼンショーホールディングス、吉野家ホールディングス、松屋フーズホールディングスの牛丼大手3社の第1 四半期決算が出そろい、3社ともに営業損益、経常損益、当期損益がいずれも赤字に陥った。