しゃぶしゃぶの木曽路<8160>が、首都圏で焼肉店「大将軍」など35店ほどを展開する大将軍(千葉市)の買収に踏み切った。

木曽路にとって初めてとなるM&Aで、新型コロナウイルスの影響で業績が悪化し、2021年3月期は赤字転落が避けられない厳しい状況が、同社の決断を後押しした。

木曽路が見込むしゃぶしゃぶと焼肉とのシナジー(相乗効果)とはどのようなものなのか。

しゃぶしゃぶに次ぐ経営の柱に

木曽路は大将軍株式の60.62%を保有する刈田・DSG 投資事業有限責任組合(東京都港区)や、同37.5%を保有する、ひまわりG2号投資事業有限責任組合(千葉市)などから大将軍の全株式を2021年1月27日に取得する。

大将軍は千葉県を中心に、和牛や国産牛にこだわった本格焼肉を提供する「大将軍」と、リーズナブルな国産牛を提供する「くいどん」の二つの業態を展開している。

一方の木曽路はしゃぶしゃぶの「木曽路」のほか、焼肉の「じゃんじゃん亭」、居酒屋の「素材屋」、からあげ専門店の「からしげ」、天丼の「てんや」など10業態を展開している。

木曽路の2020年4月末の店舗数は173店で、このうち「木曽路」が123店舗と全体の71%を占めており、これに次いで店舗数の多い「じゃんじゃん亭」は15店舗で全店に占める割合は8.7%にとどまる。「木曽路」が経営を支える大きな柱であり、他の事業が小規模であることが分かる。

 ここに焼肉店が35店舗ほど加わると、状況は大きく変わってくる。焼肉事業の店舗構成比は24%ほどに高まり、「木曽路」は59%ほどに低下する。大将軍を傘下に収めることで、経営の柱が複数になり、環境変化への対応力が強まるほか、食材の調達や配送などでもメリットが見込めるのだ。

木曽路では「両社の強みを生かすことで、付加価値の高い商品やサービスが提供でき、業績向上が期待できる」としている。

営業損失は拡大

ただ、両社の業績を見ると、子会社化の効果はそう簡単には現れそうにない。大将軍の2020年6月期の売上高は47億4200万円(前年度比10.7%減)で、営業損益は1億6800万円(前年度は3300万円の利益)の赤字だった。

【大将軍の業績推移】単位:億円

  2018年6月期 2019年6月期 2020年6月期
売上高 43.84 53.13 47.42
営業損益 △1.74 0.33 △1.68
経常損益 △1.9 0.26 △1.81
当期損益 △3.26 △0.12 △3.36

木曽路の2021年3月期は新型コロナウイルスの影響で、売上高が355億円と前年度比19.2%の減収となり、営業損益は16億円の赤字(前年度は14億2600万円の利益)に転落する見込みだ。両社の数字を単純に合算すると売上高は1割ほど膨らむが、同時に営業損失も1割ほど拡大してしまう。

木曽路初の企業買収は、新型コロナウイルスの影響で苦境に陥った同社が、業績回復策として打ち出した切り札だが、明確な成果が現れるまでにはしばらく時間を要しそうだ。

【木曽路の業績推移】単位:億円、2021年3月期は予想

  2019年3月期 2020年3月期 2021年3月期
売上高 450.86 439.24 355
営業損益 25.73 14.26 △16
経常損益 25.64 14.46 △12.2
当期損益 16.59 5.73 △14

文:M&A Online編集部