【10月M&Aサマリー】今年3番目の83件と増勢続く|「ほっともっと」のプレナスはMBOで非公開化

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株式の非公開化へMBOを実施中のプレナス(東京・茅場町の東京本社)

2022年10月のM&A件数(適時開示ベース)は83件と前年同月13件上回った。前年比プラスは3カ月連続。1~10月累計は776件で、前年を50件上回るハイペースで推移している。11月、12月によほどの失速がない限り、年間件数は前年(877件)に記録したリーマン・ショック(2008年)後の最多を更新することが確実な情勢だ。

一方、10月の取引金額(公表分を集計)は2330億円で、下から数えて今年2番目の低水準だった。100億円以上の大型案件が3件にとどまり、これに続く数十億円クラスの案件も数えるほどしかなく、総件数の割に金額は盛り上がりを欠いた。

件数は今年3番目の高水準

上場企業に義務づけられた適時開示情報のうち経営権の異動を伴うM&A(グループ内再編は除く)について、M&A Online編集部が集計した。

10月のM&A件数83件は9月(105件)、3月(93件)に続く今年3番目の高水準で、内訳は買収69件、売却14件(買収側、売却側の双方が発表したケースは買収側でカウント)。日本企業同士の国内案件が増勢を維持しているが、国境をまたぐ海外案件は8件にとどまり、しかもうち7件が売却だった。

海外案件の1~10月累計は前年比9件減の126件。日本企業が買い手となるアウトバウント取引が70件(前年同期80件)、外国企業が買い手となるインバウンド取引が56件(同55件)という内容で、アウトバウンドの伸び悩みに対し、インバウンドが高止まりしている。コロナ禍を境に、日本企業がグローバルで中核事業と非中核事業の選別を一層強めていることが背景にある。

商船三井、米コンテナターミナル事業を売却

10月の金額トップは、商船三井がコンテナターミナル事業を運営する米国子会社インターナショナル・トランスポーテーション(カリフォルニア州)を売却する案件。売却先は2社だが、社名は非公表としている。うち1社の大手投資ファンドには株式49%を約1364億円で売却する。残る51%の株式は別の1社に売却する予定で、これを合わせると売却金額は総額2500億円を超えると見られる。

商船三井は日本郵船、川崎汽船の3社で設立したコンテナ船事業の統合会社「オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)」が2018年に営業開始したのを受け、コンテナターミナル事業の資産構成見直しを進めており、今回の売却はその一環。

経営再建中のジャパンディスプレイは液晶モジュール製造の中国子会社Suzhou JDI Electronics(SE、江蘇省)を現地大手に約205億円で売却することを決めた。収益改善効果を狙っており、売却後はSEへの生産委託に移行する。

弁当大手のプレナス、約600億円で非公開化

金額2位は持ち帰り弁当「ほっともっと」、定食店「やよい軒」などを展開するプレナス(東証プライムに上場)がMBO(経営陣による買収)で株式を非公開化する案件。

塩井辰男社長ら創業家の資産管理会社でプレナス株の41%余りを保有する塩井興産(長崎県佐世保市)がTOB(株式公開買い付け)を行い、残る60%近い株式を取得するもので、買付代金は最大598億円に上る。コロナ後を見据え、中食・外食市場をめぐる競争激化と環境変化に打ち勝つための体制づくりを狙いとしている。

持ち帰り弁当のパイオニアといえば、「ほっかほっか亭」。プレナスは1987年に、九州・山口でFC(フランチャイズチェーン)展開していたほっかほっか亭九州地域本部を吸収合併した。1999年には、ほっかほっか亭の東日本統括会社を傘下に収めた。その後、商標権をめぐり、ほっかほっか亭総本部との紛争を経て、2008年にほっかほっか亭を離脱し、現在の「ほっともっと」ブランドを立ち上げ、今日に至る。

M&A Online編集部

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2022-10-25

2022年のTOB(株式公開買い付け)件数が50件(届け出ベース)に達した。年間70件と12年ぶりの高水準を記録した前年と並ぶハイペースで推移中だが、公開買付代理人の座をめぐる争いではSMBC日興証券と大和証券の2社が抜け出し、野村証券など後続との差を広げる展開となっている。

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