日本M&Aレビュー 2022年 第3四半期|フィナンシャル・アドバイザー
日本関連のM&A 27%減少の11兆円
2022年第3四半期(1-9月期)の日本企業が関与するM&A公表案件は、総額11.4兆円と、前年同期比27.1%減少し、2014年以来の低水準となった。1,000億円超の案件は総額5.7兆円で、前年同期比42.1%の減少となり、その件数は合計26件と、前年同期比18.8%の減少となった。日本関連全体の案件数は、合計3,386件に達し、前年同期比6.9%の減少となった。
工業が首位
業種別で見ると、最も買収の対象となったのは工業で、総額3.1兆円と、前年同期比43.3%増加し、26.9%の市場シェアを占めた。2位はハイテクノロジーで、前年同期比37%減少の2.8兆円となり、24.4%を占めた。3位は金融で、総額1.3兆円に達し、市場シェアは 11.8%となった。
バイサイド フィナンシャルスポンサー アクティビティ 68%増加
日本企業を対象としたフィナンシャルスポンサーが関与するM&A(海外・国内案件を含む)は、総額2.9兆円と前年同期比68.2%増加した。案件数は、前年同期比5.7%の増加の1,125件に達し、金額及び件数ともに、1-9月期ベースで、1980年の集計開始以来最高水準となった。これには、今期の首位案件となったKKR傘下の、HTSKによる、日立物流買収案件(7,686億円)、及びベインキャピタル傘下のBCJ-66による、エビデント買収案件(4,276億円)が含まれる。
OUT-IN案件 16%増加 IN-OUT案件 41%減少 国内案件3%減少
1-9月期のOUT-IN案件は、総額2.1兆円と、前年同期比15.8%増となり、2017年以来の高水準となった。買い手の大半は米国で、その総額は1.8兆円と、前年同期比40.4%増加し、全体の86.1%を占めた。7-9月期では、ベインキャピタル傘下のBCJ-66による、エビデント買収案件(4,276億円)がこれに含まれる。同案件は、米国による健康・医療機器、資材関連の買収では過去最大。これにより、OUT-INのヘルスケアセクターは、金額ベースで、前年同期比14倍超と飛躍した。一方、IN-OUT案件は、総額2.3兆円と、前年同期比41.2%減少し、2010年以来の最低水準となった。
日本企業による米国投資は総額1.2兆円にとどまり、1-9月期比で前年から半減した。海外企業の買収国ランキングでは、1位は米国、2位はカナダ、日本は11位に後退した。国内案件は、総額4.7兆円と、前年同期比2.9%の減少となった。
完了案件 45%減少
2022年第3四半期(1-9月期)の日本企業関連M&A完了案件は、総額9.7兆円と、前年同期比45.4%の減少となった。案件数は、2,610件に達し、前年同期比では9.2%減少であった。
順位 | ランク日 | 被買収側企業 | 被国籍 | ランクバリュー(億円) | 買収側企業 | 買国籍 |
1 | 2022年4月28日 | 日立物流 | 日本 | 7,686.0 |
HTSK | 日本 |
2 | 2022年8月29日 | エビデント | 日本 | 4,276.7 |
BCJ-66 | 日本 |
3 | 2022年1月31日 | バンジー | 米国 | 4,263.9 |
ソニー・インタラクティブエンタテインメント | 米国 |
4 | 2022年5月12日 | 日本電信電話(NTT) | 日本 | 3,602.7 |
日本電信電話(NTT) | 日本 |
5 | 2022年3月25日 | トレルボルグ・ホイール・システムズ・ホールディングAB | スウェーデン | 2,824.8 |
横浜ゴム | 日本 |
6 | 2022年5月9日 | NTTデータ 海外事業 | 日本 | 2,553.1 |
NTT | 日本 |
7 | 2022年3月18日 | GMクルーズホールディングス | 米国 | 2,490.4 |
ゼネラル・モーターズ | 米国 |
8 | 2022年3月17日 | 三菱商事UBSリアルティ | 日本 | 2,300.0 |
76株式会社 | 日本 |
9 | 2022年4月28日 | 日立物流 | 日本 | 2,219.8 |
日立物流 | 日本 |
10 | 2022年5月13日 | 近鉄エクスプレス | 日本 | 2,128.2 |
近鉄グループホールディングス | 日本 |
出典:Refinitiv(リフィニティブ)
(注)公表案件ベースのリーグ・テーブル・ランキングは、リフィニティブが認識している2022年4月1日から2022年9月30日の期間に公表された案件を対象としており、今期および昨年の全てのデータは、日本時間2022年10月3日午前10時に抽出したものである。ランキングにおける取引金額はすべて日本円で表示され、不動産案件は除外している。リーグテーブル対象となるのは、合併、買収、市場を介さない自己株式取得、スピンオフ、公開買付による自社株買い、少数株主持ち分(50%以下)の株式取得、及びデット・リストラクチャリング案件である。公開買付・合併案件は、その案件が完了した日付をもって有効と見なす。取引金額のついていない場合も対象案件となり、その場合取引金額は表示されない。
本記事は、LSEG:Refinitiv 「日本M&A リーガル・アドバイザリー・レビュー」より許可を得て一部掲載しています。
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