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中国の「爆買い買収王」吉利汽車、中華ナスダック上場の狙いは?

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自動車業界では珍しい「買い物上手」

2017年5月には、かつて三菱自動車<7211>と三菱商事<8058>が合計30%を出資していた合弁自動車メーカーのマレーシアの自動車メーカー・プロトン株の49.9%を取得した。

ただ、この出資の真の狙いはプロトンではなく、同社の傘下だった高級スポーツカーメーカー・英ロータス・カーズだったといわれている。吉利汽車はプロトンからロータス株の51%を推定約5000万ポンド(約74億円)で譲渡され、子会社化した。

プロトン買収で名門スポーツカー「ロータス」も手に入れた(同社ホームページより)

2018年2月には独ダイムラーAGの株式9.69%を取得して筆頭株主となった。翌2019年3月、ダイムラー傘下で業績が伸び悩んでいた高級小型車ブランド「スマート」に50%出資して、2022年に同ブランドの小型電気自動車(EV)を発売する予定だ。

まさに世界的な有名ブランドメーカーの「爆買い」だが、いずれも業績が悪くて持てあましていたメーカーや事業を買収しており「高値づかみ」はしていない。なかなかの「買物上手」だ。

吉利汽車の2019年世界販売台数は136万1500台と、三菱自動車(136万8599台)と同レベルだが、その他に買収した子会社の販売台数が81万6500台ある。しかも、プロトン(10万800台)以外は高級乗用車ブランドなので利益率が高い。大手自動車メーカーの世界再編の多くが頓挫(とんざ)する中で、吉利汽車は数少ない成功事例を積み上げている。

投資家からの評価も高い。吉利汽車は香港証券取引所に上場しており、現在の時価総額は1167億7000万香港ドル(約1兆6000億円)と、日産自動車<7201>(1兆7800億円)に匹敵する。生産台数が近い三菱自動車(4605億円)の約3.5倍だ。

吉利汽車は持ち株会社が買収したボルボ・カーズとの合併協議中で、経営統合後の新会社を香港やストックホルムで上場する見通しだ。科創板上場で調達した資金の用途は「事業開発や同グループの一般的運転資金」と発表されているが、ボルボとの合併資金として使われる可能性もあるという。新会社が新たな自動車世界再編の「台風の目」になるかもしれない。

文:M&A Online編集部

M&A Online編集部

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