米国の製薬会社ギリアド・サイエンシズ(カリフォルニア州)は5月1日に米国食品医薬品局(FDA)から、新型コロナウイルス感染症治療薬として期待されているレムデシビルに関して緊急時使用許可を取得したと発表した。 

これを受け日本では海外での承認を条件に国内の審査を迅速化できる特例承認の制度を用いて、5月7日にもレムデシビルを新型コロナウイルスの治療薬として承認する見通しだ。

 ただ、日本に何人分のレムデシビルが供給されるかは未定という。果たしてレムデシビルは足りるのだろうか。 

計算上は重症者全員分の確保が可能

レムデシビルは重症入院患者の治療薬としての使用を許可されており、ギリアドでは人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO)を必要とする患者には 10 日間の投与を、そのような処置を必要としない患者には 5 日間の投与を推奨している。

米ジョンズ・ホプキンス大学などの調べによると世界の感染者数は360万人を超え、このうち回復した人は110万人ほどで、死亡者は25万人ほどとなっており、現在の感染者数は225万人ほどとなる。 

世界保健機関(WHO)によると、新型コロナウイルス感染者の約14%は入院と酸素補給を必要とする重篤な症状を経験し、5%は集中治療室での治療を必要とするとしている。これを当てはめれば集中治療室で治療を受けている患者数は225万人の5%の11万2500人という計算になる。 

ギリアドは2020年5月末までにおよそ14万人分(10日間投与)を供給するとしており、これであれば集中治療室で治療を受けているすべての患者に行き渡る。一方、酸素補給などを必要とする患者は225万人の14%の31万5000人で、これら患者にはほとんど投与できないことになる。 

ギリアドでは北米や欧州、アジアの多数のパートナーとともに、製造能力を高めており、2020年10月までに50万人以上分を、2020年12月までに100万人以上分を、2021年には数百万人分を供給できる見通しという。

患者数が急増せず、現状を維持できれば10月ごろには必要とする患者にはほぼ投与でき、2021年は感染者全員への投与も可能になりそうだ。

さらにギリアドでは進行中の臨床試験で5日間の治療コースを研究しており、5日間投与が安全で効果的であることが分かれば、現在予定している10日間の投与に比べさらに治療できる患者の数を増やすことができる。 

ギリアドは「新型コロナウイルスの新規感染患者数と重症度を追跡して、全世界における本剤の配分を検討する」としている。日本の重症者数は300人強。計算上は全員分の確保が可能だが、果たしてギリアドの判断はどうだろうか。

文:M&A Online編集部