東京一番フーズ<3067>は豊田(東京都豊島区)が運営する寿司チェーン「寿し常」など首都圏26店舗の事業を6月1日に取得した。営業自粛の影響などから外食・フードサービス業界は厳しい環境下にあり、同分野のM&Aの件数や金額は前年同期に比べ大きく減少している。 

そんな中、ポストコロナを見据えて積極策を打ち出す企業もあり、 東京一番フーズもそうした企業の一つ。2020年9月期の業績見通しを新型コロナウイルスの影響で見通しがたたないことを理由に、未定とする中での決断だ。 

コロナ禍の中あえてM&Aに踏み切る同社の勝算は。 

6次産業化を推進 

東京一番フーズは「とらふぐ亭」「ふぐよし」「魚の飯」などの料理店50店ほどを首都圏中心に展開するとともに、長崎県の養殖場で、トラフグ、クロマグロ、ブリ、サバなどの養殖事業を運営する子会社の長崎ファーム(東京都江東区)を通じて、鮮魚の調達や水産品の販売を手がけている。 

2020年6月1日に発表した2020年9月期の第2四半期決算では新型コロナウイルスの影響で飲食事業と、養殖魚の販売などの外販事業はともに振るわず、売上高は前年同期比10%強の減収となり、営業利益、経常利益はともに同70%を超える減益に、さらに当期損益は700万円の赤字に陥った。 

このため2020年9月期の業績予想を未定としたわけで、新型コロナウイルスの第2波、第3波の状況によっては通期での赤字転落の可能性もある。 

そうした厳しい状況の中で、寿司チェーン寿し常などの飲食事業の取得に踏み切った理由は主に二つある。一つは長崎ファームが手がける、マグロなどの養殖魚や、連携している漁業生産者の水産物、自社グループや連携先の水産加工品などの販売先を拡大できること。 

2つ目は水産物の調達量が拡大することで生産(1次産業)、加工(2次産業)、販売(3次産業)のすべてを自社グループ内で実現する6次産業化が進み、同社が目指している総合水産企業に近づけることだ。 

確かに、これまでの50店ほどの店舗数に新たに26店が加わることは、これら2つの目標達成にはプラスになるだろう。 

ただ、今回の事業譲受については譲受事業の営業成績や資産、負債、譲受価格などはすべて非開示となっており、今後の状況によっては譲受事業が東京一番フーズの足を引っ張る存在にならないとは言い切れない状況にある。