福島市内で唯一の百貨店だった中合(なかごう、福島市)が廃業することになった。旗艦店の「中合福島店」が入居する商業ビルとの賃貸借契約が満了する2020年8月末で閉店するのに併せた措置だ。同ビルはJR福島駅東口再開発事業で2022年度に解体される。

「三方よし」の近江商人がルーツ

中合は2019年8月ごろから閉店の検討を始めており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大については「直接の影響はない」(中合の黒崎浩一社長)という。これに先立ち、中合サテライトショップ会津(会津若松市)も2020年7月末に閉店する。

中合は会社清算し、従業員は親会社のイオングループ企業に移籍するほか、地元企業への再就職も斡旋する。これにより福島県内の百貨店は郡山市の「うすい百貨店」と、いわき市のサテライト店舗「三越いわき」のみとなる。

福島から姿を消す中合だが、創業は1874年(明治7年)で今年で創業146年を迎える老舗百貨店だ。「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」を家訓とした近江商人・中村治兵衛家の三代目中村治兵衛(安藤芳兵衛)が福島市で中村呉服店を開業したのが始まり。1893年(明治26年)に中村合名会社と社名変更し、現在の「中合」という社名の由来となった。

創業当時の「中合」店舗(同社ホームページより)

1938年(昭和13年)に百貨店業へ参入。1954年(昭和29年)に東北で初となる百貨店友の会「中合友の会」を立ち上げたほか、1956年(昭和31年)には大町旧店舗でエスカレーターと屋上遊園地が設置するなど、福島を代表する百貨店として成長する。1968年(昭和43年)には若松デパート(福島県会津若松市)と資本提携して会津中合を設立するなど、県内での地盤を固めた。