寄生虫感染症の治療薬であるイベルメクチンが、アビガン、レムデシビルに次ぐ新型コロナウイルス感染症治療薬として注目を集めている。

40年前に開発され多くの患者に投与されてきたため、新しい薬剤であるアビガンやレムデシビルと比べると、副作用を心配することなく使用できるという。 

開発したのは北里大学の大村智特別栄誉教授で、日本発ということからも注目度は高い。イベルメクチンとはどのような薬剤なのか。またイベルメクチンを製造販売しているMSDとはどのような企業なのか。 

死亡率の低下や治療効果などの報告も 

イベルメクチンは大村智特別栄誉教授が静岡県内で採取した土から発見した新種の放線菌が産生する物質を元に製品化されたもので、糞線虫などの寄生虫に有効に作用する。大村智特別栄誉教授はこの成果が認められ2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。 

当初は馬や犬などの動物用に用いていたが、その後アフリカや東南アジアなどの熱帯地域を中心に人の治療にも使われるようになり、さらにその後抗ウイルス剤としての効果も認められるようになった。 

イベルメクチンは新型コロナウイルスと同じRNAウイルスに効果があることから、米国などで新型コロナウイルス感染症の治療にイベルメクチンを用いる試験が行われており、死亡率の低下や治療効果などが報告されている。 

北里大学でもイベルメクチンを新型コロナウイルス感染症の治療薬として承認を目指すことを公表している。 

日本ではストロメクトールの商品名で販売 

イベルメクチンを製造販売しているMSDは2009年にMerck &Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A.とシェリング・プラウ社が経営統合して誕生した。商号は米国とカナダでは「Merck」、その他の地域では「MSD」を使用している。 

米国ニュージャージー州に本社を置くMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.は1891年の設立で、現在世界140カ国以上で事業を展開している。医療用医薬品、ワクチン、バイオ医薬品、アニマル・ヘルス製品の開発、製造、販売を手がけており、2019年度の売上高は468億ドル(約4兆9600億円)、研究開発費は87億ドル(約9200億円)、従業員数は約7万1000人に達する。 

日本では万有製薬とシェリング・プラウが統合し、2010年10月に新会社MSD(東京都千代田区)が誕生した。医療用医薬品、ワクチンの開発、輸入、製造、販売を手がけており、イベルメクチンをストロメクトールの商品名で販売している。2019年12期の売上高は3746億円で、2020年4月1日時点の従業員は約3300人。

文:M&A Online編集部