三井E&Sホールディングス<7003>による子会社や事業の売却が、2019年12月下旬から2020年6月中旬までのおよそ半年間で6件に達した。海外の大型石炭火力発電所土木建設工事によって発生した巨額損失を穴埋めするための取り組みだ。

同社は2019年5月に事業再生計画を策定し、子会社や事業の売却方針を打ち出すとともに、成長事業へのリソースの集中も目標に掲げた。

同社が2020年5月12日に発表した2021年3月期の業績見通しは、こうした取り組みの結果、営業損益や経常損益は赤字ながら、赤字幅は大きく縮小し、当期損益はとんとんにまで回復する。

これに伴って同社のM&A戦略も変更される可能性は高く、これまでの「売却」から成長分野での「買収」に切り替わる時期は徐々に近づいていると言えそうだ。

2023年3月期の経常利益率は4%以上に

三井E&Sホールディングスは2019年5月に、資産売却や固定費削減からなる「財務体質、収益体質の強化」と、不採算事業の整理、成長事業へのリソースの集中から成る「事業構造の変革」を2本柱とする三井E&Sグループ事業再生計画を策定した。

この計画に沿ったM&Aの第一弾が、プラント設計、建設を手がける子会社の三井E&SプラントエンジニアリングをJFEエンジニアリングに譲渡すると2019年12月に発表した案件。

2020年1月には、米投資会社のベインキャピタルが三井E&Sホールディングスの子会社である昭和飛行機工業に対して実施するTOB株式公開買い付け)に応募することを、2月には大分事業所内で運営していた太陽光発電事業を売却することを決めた。

4月には子会社の三井E&Sエンジニアリングの子会社であるバイオマス発電事業の市原グリーン電力のタケエイへの売却を、5月には橋梁事業などを手がける子会社の三井E&S鉄構エンジニアリングの三井住友建設への売却を発表した。

そして今月6月12日には子会社の三井E&S造船が手がける艦艇事業を三菱重工業に譲渡する方向で協議を始めることで基本合意した。艦艇事業は玉野艦船工場(岡山県玉野市)が手がけており、三菱重工業への事業譲渡後も防衛省を中心とする船舶の建造や修繕は、玉野艦船工場で継続する予定という。

三井E&Sホールディングスは2019年11月に、三井E&Sグループ事業再生計画の見直しを行い、この中で「機械事業分野、海洋事業分野を注力事業と位置付け、オイル、ガス、機械事業を対象とする関連機器やサービスの展開に注力する」とした。

さらに「造船事業分野や社会インフラ事業分野、発電事業分野は、他社グループとの協業、提携により、成長を目指す」という。

同社ではこうした取り組みで2023年3月期の経常利益率を4%以上に高める計画で、計画達成に向けたM&A戦略の変更は不可欠だろう。

【三井E&Sホールディングスの業績推移】単位:億円

2017年3月期 2018年3月期 2019年3月期 2020年3月期 2021年3月期
売上高 7314.64 7032.16 6565.04 7864.77 6300
営業損益 83.04 △52.24 △597.03 △620.79 △100
経常損益 148.59 30.61 △505.02 △604.57 △70
当期損益 121.94 △101.37 △695.99 △862.1 0

文:M&A Online編集部