新型コロナウイルスの影響で業績を下方修正した上場企業の消失した売上高の合計が5兆円に迫ってきた。 

信用調査会社の帝国データバンクが、適時開示情報を基に新型コロナウイルスの影響で業績予想を下方修正した企業について集計した。 

それによると、2020年5月20日までに業績予想の下方修正を発表した企業は643社で、前回の5月13日調査から123社増えた。この643社が下方修正を行ったことで消失した売上高の合計は前回調査から約4970億6400万円増え、約4兆8173億1800万円となった。 

多くの府県で非常事態宣言が解除され、残る関東や北海道も5月25日に解除される見通しで、今後経済活動が活発化してくるものとみられるが、景気回復には時間を要することが必至なだけに、消失売上高はまだまだ膨らみそうだ。

シチズン時計は最終赤字に転落

今回調査の期間中(5月14日-20日)に、業績予想の下方修正を行った主な企業は東芝テック<6588>、シチズン時計<7762>、APAMAN<8889>、リーガルコーポレーション<7938>、銀座ルノアール<9853>など5社。 

東芝テックは2020年3月期の売上高を前回予想より50億円引き下げ4800億円に修正した。これに伴って営業利益、経常利益はいずれも前回予想に比べ20%を超える減益となり、当期利益は同68.2%減の35億円に落ち込む。 

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、 プリンティングソリューション事業や海外リテールソリューション事業が減少したのが響いた。 

東芝テックの2020年3月期 売上高 営業利益 経常利益 当期利益
前回予想 4850億円 170億円 155億円 110億円
今回予想 4800億円 135億円 110億円 35億円

シチズン時計は2020年3月期の業績予想と実績値との差異について発表した。売上高は前回予想比3.1%減、営業利益は同31.8%減、経常利益は同28.3%減となり、当期損益は前回予想の40億円の黒字から一転して166億67000万円の赤字に転落する。 

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、腕時計やムーブメントの売り上げが急減したことや、ハイブリッド式スマートウオッチに関する減損損失を計上したことなどから赤字を余儀なくされた。 

シチズン時計の2020年3月期 売上高 営業利益 経常利益 当期損益
前回予想 2875億円 90億円 105億円 40億円
実績 2785億3100万円 61億3600万円 75億3100万円 △166億6700万円

APAMANは2020年9月期の業績予想を修正した。売上高は同2.9%の減収ながら営業利益は同40.0%減、経常利益は同67.9%減、当期利益は同77.8%減と厳しい内容となった。 

米国などの海外ロックダウンにより、コワーキングスペースのfabbitの海外全拠点の一時閉鎖や、国内の緊急事態宣言などに伴う顧客の減少、コインパーキングの利用者減少などが要因だ。

APAMANの2020年9月期      売上高 営業利益 経常利益 当期利益
前回予想 450億円 20億円 14億円 4億5000万円
今回予想 437億円 12億円 4億5000万円 1億5000万円

 リーガルコーポレーションの2020年3月期は前回予想より3.8%の減収となり、営業損益、経常損益、当期損益はいずれも赤字になる。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、店舗関連損失、貸倒引当金繰入額、たな卸資産評価損などを感染症関連損失として2億5700万円を計上するため、大幅な修正となった。 

リーガルコーポレーションの2020年3月期 売上高 営業損益 経常損益 当期損益
前回予想 303億円 0 1億円 △3億円
今回予想 291億5200万円 △7億2700万円 △5億9100万円 △13億200万円

銀座ルノアールも通期業績予想値と実績値との差異を発表した。新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛によって来店客数が激減したのが要因で、売上高は同2.8%減収、営業利益、経常利益はともに前回予想より30%を超える減益となった。当期利益も同86.6%もの減益となったが、何とか黒字を確保した。

銀座ルノアールの2020年3月期 売上高 営業利益 経常利益 当期利益
前回予想 82億8000万円 6億1400万円 6億5400万円 3億7900万円
実績 80億4500万円 4億1400万円 4億4700万円 5100万円

文:M&A Online編集部