日本製の新型コロナウイルス用ワクチンの開発と、同ワクチンの大量生産体制の構築が着々と進みつつある。 

新型コロナウイルス用のワクチン開発では米国、中国、英国が先行し、年内実用化に向けてしのぎを削っている。 

日本はこの先頭グループからは後れをとっているが、開発競争から離脱することはできない。先頭グループがワクチン開発に成功しても、こうしたワクチンが日本に供給されるまでには時間がかかるとみられるからだ。 

先頭グループから大きく遅れることなくゴールにたどり着ければ、海外製のワクチンが日本に到着する前に、日本製ワクチンの接種を開始することも可能だろう。 

ワクチン開発競争で日本の先頭を走っているとみられるバイオベンチャーのアンジェス<4563>と大阪大学が共同開発中のDNAワクチンの現状を見てみると。 

速やかに臨床試験に移行 

アンジェスと大阪大学による新型コロナウイルス用のDNAワクチンの共同開発は2020年3月5日にスタートした。 

DNAワクチンはウイルスが持つたんぱく質を作り出すプラスミドと呼ばれる環状の遺伝子(DNA)を接種することで、ウイルスのたんぱく質を体内で作り出し、免疫力をつけるというもの。ウイルスそのものは使用しないため安全で、短期間で製造できるという特徴があるという。 

さらにプラスミドは染色体の外にある遺伝子のため、ウイルスなどの遺伝子が染色体の中に入り込む可能性が低く、副作用の心配が少ないと言われる。

共同研究を始めた8日後の3月13日には、細胞内にプラスミドを送り込むための技術を持つダイセル<4202>が参画し、皮膚内での遺伝子の発現効率などを高める研究が始まった。この時点で6カ月以内のできる限り早い時期の臨床試験開始を目指すとしていた。 

3月24日には非臨床試験用(動物向け試験用)のプラスミドDNAワクチンが完成し、2日後の26日に非臨床試験(動物向け試験)が始まった。その後ワクチン開発や安全性の検証などで数多くの企業が共同開発に参画し、開発体制を拡充してきた。 

5月25日には動物へのワクチンの投与で、抗体価の上昇を確認したとし、ワクチン開発が順調に進んでいることを公表。毒性試験結果を確認した上で、速やかな臨床試験への移行を進めるという。 

こうした状況を受けアンジェスが3月に、6カ月以内の臨床試験開始を目指すとしていた日程が早まることが報じられており、年内実用化を目指す欧米や中国に近づける可能性がでてきた。