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東芝劇場~衝撃の結末は?

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ビズサプリの久保です。
今回のビズサプリ通信は、またもや東芝です。過年度決算訂正が終わったかと思ったら、減損問題で揺れる東芝ですが、現在進行形の劇場型で事件が進展しています。会計の専門家でも難しい内容をできる限り平易に解説したいと思います。少し長いですがお付き合いください。

■ 1.ウェスチングハウスによる減損処理

東芝は2015年9月に、2014 年3月期までの有価証券報告書の訂正と2015年3月期の有価証券報告書を提出しました。ようやく過去の決算処理が終わったのも束の間、その2ヶ月後の11月に日経ビジネスオンラインが、米国で原子力事業を行う子会社のウェスチングハウスによるのれんの減損を報じたのです。

それによると2013年3月期と2014年3月期に、ウェスチングハウスの貸借対照表に計上されているのれんが総額1,600億円減損されていたということでした(その後の東芝による発表では総額1,320億円)。東芝が2015年9月に行なった過去の決算訂正には、このウェスチングハウスによる減損は含まれていませんでした。この減損はどこに行ったのでしょうか?

実は、これについてはビズサプリ通信で既に解説しています。子会社による減損を東芝が連結上取り消したので、最終的には決算にはこの減損は反映しなかったというのが真相です。

本来、親会社が計上するのれんを子会社で計上する処理は、「プッシュダウン会計」と呼ばれる手法です。親会社の東芝で減損を取り消したのは、減損テストをする時の事業グルーピングが親子間で異なっており、親会社のグルーピングが子会社のグルーピングより大括りなので、減損は不要と判断したためでした。これらついては、当時の監査人であった新日本監査法人は問題としていません。

■ 2.東芝によるのれんの減損と監査人の変更

2015年3月期までは、前述のとおり東芝はウェスチングハウスののれんについて減損処理をしませんでしたが、翌年の2016年3月期において2,476億円の減損を計上しました。第3四半期までは減損の兆候なしとしていましたが、期末になって減損を公表したのです。これについて連結財務諸表の注記には「東芝の信用力の低下により、借入金利が上がったので、高い割引率で公正価値(現在価値)を計算したら、原子力関連資産の価値が低く計算された結果の減損です。」と言う意味のことが記載されています。

東芝は、インカムアプローチという方法を採用しています。その場合、企業価値は、将来のキャッシュフローを現在価値に引き戻して計算します。

現在価値にするときに金利相当額を割り引くのですが、そのときに使う利率が高ければ、計算される現在価値が小さくなります。東芝は、昔は信用力があったので、低い金利で借入できましたが、今は借入金利が高くなったので、高い割引率を使って計算をしなければならなくなったのです。

この説明は、単なる金利(割引率)の差による計算上出てきた減損です、と言うことになっています。すなわちこの時点では、ウェスチングハウスなどの原子力事業自体の価値が低下したことによる減損とはされていませんでした。

ここまでの監査は、新日本監査法人が行なっており、次の年度からはPwCあらた監査法人に交代しています。PwCあらた監査法人は、監査を引き受ける前に予備調査を実施しているはずです。これは新規に監査を引き受ける際に監査法人が必ず実施する手続です。その際、特に2016年4月1日の期首残高をしっかり調べたはずです。監査を引き受けたということは、すなわち、原子力の事業に関わる減損は、決算に反映された以上には不要であるということをこの時点で判断したものと考えて良いと思います。

しかし、ウェスチングハウスは、そのちょうど1年後に破綻したのです。

ビズサプリ通信

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