今回は、コーポレートガバナンス・コードの「そもそも」の「その2」です。コードの中身について、お話をすることにします。

1. コンプライ・オア・エクスプレイン

 コンプライ(comply)とエクスプレイン(explain)は、どちらも動詞ですので、命令形と考えられます。よって、「遵守せよ、または説明せよ」という意味になります。

 コーポレートガバナンス・コードは、一定のモデルをベースに策定されています。そのモデルに合わないから実効性のあるコーポレートガバナンスができないということではないはずです。

 例えば、従業員50人のベンチャー企業と10万人の大企業のコーポレートガバナンスが同じであるべきだ、と考える人はいないと思います。

 そこで、コードが前提とするモデルと異なるガバナンス体制が自社にとって望ましいと考える場合には、「説明」すればコードを遵守しないでよいということにしました。これがコンプライ・オア・エクスプレインです。

 日本人は、一般にルールがあれば遵守するのが当たり前で、遵守しないことは良くないこと、と考える傾向があると思います。しかし、「当社にはコードに記載されたようなガバナンス体制は向いておらず、返ってマイナスになる」ということがあれば、積極的に「説明」すべきであると思います。

 コードの遵守率を少し見ておきましょう。日本のコーポレートガバナンス・コードのお手本になった英国では、FTSE350社のうち、すべてのコードを遵守した会社は61%でした(2014年)。ロンドン証券取引所の上場会社は2500社以上ありますので、FTSE350社はそのうちの上位の優良会社です。そのような会社でも39%は完全にはコードを遵守していないということになります。

 東証の場合は英国に比べて、コード遵守率がまだまだ低いのが現状です(12月までの集計で、東証一部上場会社の完全遵守は14.2%)が、英国の優良会社でも完全遵守会社は6割であることを念頭に置いておく必要があります。