今回は、前回に引き続き、親子上場がテーマです。
前回は親子上場の問題点を書いてきましたが、ややこしい話があるのは親子上場に限りません。
東燃ゼネラル石油という会社があります。この会社は世界的な石油メジャーであるエクソンモービルと提携関係にあり、かつてはエクソンモービルの子会社として親子上場をしていました。現在は持株比率が下がり親子上場ではなくなっています。
実は2012年まで、東燃ゼネラル石油のガソリンはエクソンモービルの子会社が運営するガソリンスタンドで販売されていました。大株主であり、提携先であり、名だたる石油メジャーであるエクソンモービルに流通網を押さえられていて、東燃ゼネラル石油はきちんとした販売価格を確保できるのか。疑心暗鬼になっていた投資家もいたようです。その辺の事情もあったのか、現在ではガソリンスタンドの運営は東燃ゼネラル石油に移管されています。
親会社でなくとも特定の株主に事業を大きく依存する場合、その大株主による利益相反を抑止しにくいのは確かでしょう。そこには親子上場と同じ問題があります。
この点、移転価格税制や独占禁止法は抑止力になり得ます。利益が偏っていれば追徴や課徴金を受けるため、ある程度までは独立第三者価格での取引が期待できます。とはいうものの、そもそも狙いとしているところが違うため、根本的な解決策とまでは言えません。