株式買い取り請求権制度の利用

合併や経営統合などの企業再編に反対した株主が、保有する株式を企業に買い取らせる「買い取り請求権」の行使が一般的になっている。

 過去、旧・カネボウの営業譲渡やレックス・ホールディングス(現・レインズインターナショナル)のMBO などで行使された反対株主の買い取り請求に対して、反対株主よりの判断が裁判所によって出されたこととも関係があると思われる。

 しかし、株式買い取り請求権が本来の目的とは異なり、ファンドの保有株式のエグジット戦略の一環で利用されるケースも増えてきているようだ。

 例えば、ゲームソフト会社の旧・テクモが旧・コーエーと経営統合(現・コーエーテクモホールディングス)する際に、投資ファンドであるエフィッシモキャピタルマネージメントは経営統合への反対意見を通知し、公正な価格での買い取り請求を行った。この買い取り請求では、投資ファンドと旧・テクモとの間で価格交渉がまとまらず、東京地裁に価格決定の申し立てが行われた。

 エフィッシモキャピタルマネージメントの旧・テクモに対する投資は保有比率で20%弱にも達していたようで、それだけの保有比率の株式を売却する手段としては、株式買い取り請求権は有力な回収方法の一つということになるであろう。

 また、ファンドによる投資ではないが、楽天<4755>は2009 年3 月31 日、発行済み株式の19%強を保有するTBSテレビ株について、全ての保有株式についてTBSテレビに買い取り請求を実施している。楽天はかねて求めていた経営統合や事業提携が難しくなったため、認定持ち株会社に移行するTBSテレビ からの決議に反対し、保有株を売却する機会として株式の買い取り請求を実施したとも考えられた。

 ここで、株式買い取り請求権の行使手続きをまとめてみよう。