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投資ファンドのエンデバーは、ピザハットを美味しく料理することができるのか?
5月10日、日本KFCホールディングスが日本ピザハットを投資ファンドのエンデバー・ユナイテッドに売却すると発表しました。ピザ業界の競争激化が背景。企業価値を高めるという観点から投資ファンドへの売却を決めたようです。2017年にようやく黒字化を実現。コストカットによる収益の改善を図っていました。ではなぜこのタイミングで売却するのか、という話です。
投資ファンドの本分は「企業を安く買って高く売ること」といえる。そのため、投資ファンドはM&A市場において、ときには「買い手」として、ときには「売り手」として登場頻度の多いプレイヤーでもある。そこで今回は、近年活発な動きを見せる投資ファンドによるM&Aに注目し、いくつかの売買事例を紹介したいと思う。
MBKパートナーズは、2005年にカーライル出身の7人が設立した韓国系ファンドだ。日中韓で大型のM&Aに携わっている。
最近では、コメダホールディングス<3543>の売却が記憶に新しい。コメダの2017年2月期の売上高は前期比11%増の240億円、純利益は前期比9%増の45億円となった。好決算をもって、上場後はじめての有価証券報告書を5月31日付で提出した形となる。翌月の6月9日、満を持して、筆頭株主である投資ファンドMBKパートナーズがコメダ株の売却を発表した。
「満を持して」というのは、昨年の上場以来、コメダの株価はさえない状態が続いていたからだ。コメダが上場したのは昨年2016年の6月29日。初値は公開価格1,960円を5%ほど下回る1,867円となった。その後、株価は下落し、9月には1,600円を割ることもあった。しかし、2017年に入って何とか初値を超えるところまで回復し、5月には2,000円を射程に捉えるほどになった。
MBKパートナーズがコメダ株を取得したのは2013年2月である。そこから約3年後の株式上場時に持株比率90%を超える株式のうち60%程度を売却しており、今回発表したコメダ株の売却は残りの31.1%に相当する部分だ。好決算を発表できたこのタイミングが最終的なExit(出口)として最適と判断したのだろう。
また、宝飾品会社のTASAKI(旧名:田崎真珠)<7968>が2017年7月27日で上場廃止となる。これはMBKパートナーズが5月11日にTOBを成立させたことによるものだ。実は、MBKパートナーズは2008年にTASAKIの株式を取得して、2015年に全株を売却した過去を持つ。今回、MBKパートナーズは再びTASAKIの全株式を取得することとなる。
2007年9月 | 弥生 | ライブドアホールディングスより会計ソフト弥生の株式を710億円で取得 |
2008年10月 | TASAKI | 田崎真珠(現TASAKI)株式の取得 |
2009年5月 | USJ | テーマパークのUSJを運営するユー・エス・ジェイの株式を取得 |
2013年2月 | コメダ | コメダ株式の取得 |
2014年11月 | 弥生 | 弥生の全株式を800億円でオリックスに売却 |
2015年7月 | TASAKI | TASAKIの全株式を213億円で売却(TASAKIによる自社株買い) |
2015年9月 | USJ | USJの株式を米NBCユニバーサルへ売却 |
2016年11月 | アコーディア | アコーディア・ゴルフをTOB |
2017年5月 | TASAKI | TASAKI株式を取得(7月上場廃止予定) |
2017年6月 | コメダ | コメダホールディングス株式の一部売却 |
5月10日、日本KFCホールディングスが日本ピザハットを投資ファンドのエンデバー・ユナイテッドに売却すると発表しました。ピザ業界の競争激化が背景。企業価値を高めるという観点から投資ファンドへの売却を決めたようです。2017年にようやく黒字化を実現。コストカットによる収益の改善を図っていました。ではなぜこのタイミングで売却するのか、という話です。