ビズサプリの久保です。ご存知の通り、昨年7月トヨタは社債のような株式を発行しました。これは、コーポレートガバナンス上いろいろな話題を提供しました。

 ここで一度、どのような株式だったのか、そして何が問題だったのかをまとめておきましょう。

1. 株主に有利な発行条件

 まず、発行条件を見てみましょう。配当率が「初年度発行価格に対して0.5%で、それ以降毎年0.5%ずつ増加し5年目以降2.5%固定」となっています。これを見たら、マイナス金利となった今、買っておけばよかったと思っている方も多いかもしれません。実際、予定発行数の10倍の申し込みがあったそうです。

 これは株式ですが「譲渡制限があるため非上場」になります。トヨタはもちろん上場会社ですので、発行する株式は証券取引所で自由に売買できます。その株式は普通株式です。種類株式普通株式ではなく、いろいろ条件をつけた株式なのです。

 会社法第108条1項では、株式会社は「異なる定めをした内容の異なる2種類以上の株式を発行することができる」としており、その内容として剰余金の配当、残余財産の分配、株主総会における議決権、株式の譲渡制限などを挙げています。

 種類株式の代表格としては優先株式があります。これは剰余金の配当または残余財産の分配が他の株式に優先する株式です。昨年トヨタが発行した種類株式は、配当と譲渡に条件が付けられた株式ということになります。なお、この種類株式の株主は、株主総会での議決権を制限されませんので、その点は普通株式と同じです。

 非上場株式ということで、一旦買ったらいつまでも売却できないのでは困ります。この種類株式を買った人は「2020年10月以降、年2回(4月・10月) 」に「発行価格」でトヨタが買い取ってくれるという条件が付いています。

 また、「2021年9月以降、年4回(3・6・9・12月) 」には普通株式に1:1に交換してくれるという条件も付いています。すなわち、元本保証で普通株式への転換(交換)の権利も付いています。ただしそれは取得から5年後です。

「発行価額は2015年7月2日から7日のいずれかの日のトヨタの普通株終値に26%から30%を上乗せした水準」で決まるということでしたので、5年後の株価がそれより上がっていれば、普通株式に転換したあと売却すると売却益が得られます。5年後の株価が下がっていれば、買い取り請求すれば発行価格(元本)でトヨタが買い取ってくれるので売却損は発生しないという条件です。