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東芝劇場~衝撃の結末は?

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■ 5.ウェスチングハウスの破綻と連結除外

話はこれで終わりません。2017年3月29日、ウェスチングハウスとS&Wを含む関係会社は、米国連邦倒産法に基づく再生手続を申立て、再生手続を開始しました。東芝が期限の2017年2月に第3四半期決算を公表できず、4月になってようやく公表した時点では、ウェスチングハウスが破綻していたということになります。
この結果、なんとウェスチングハウスとその関係会社は、東芝の連結対象外となりました。 東芝が採用する米国会計基準では、再生手続中の会社は、親会社との間に有効な支配従属関係が存在しないため、連結除外してよいというルールに基づくものです。

話がややこしくなりました。2016年12月の第3四半期決算で計上された7,166億円の減損はどうなるのでしょうか。そもそものれんの対象となる子会社が連結除外されたので減損を計上することもできません。

2016年12月の第3四半期報告書には、「ウェスチングハウスの連結除外により2,000億円の増益が見込める」と書かれています。2016年12月に計上した7,166億円の減損が消えることが増益の理由です。ただ、5月に発表された業績見通しでは、ウェスチングハウス関連の損失は1.3兆円になることが公表されています。発生する損失の内容は詳しくわかりませんが、この巨額損失を見ると大変なことになっていることが分かります。

■ 6.東芝の現状

このビズサプリ通信の執筆時点では、2017年3月期の有価証券報告書の提出期限の6月末を過ぎており、その提出期限が延期されている状況です。

2016年12月の第3四半期での東芝の純資産は299億円でした。その四半期報告書には、継続企業の前提(ゴーイング・コンサーン)に関する注記を記載しました。これは東芝が自らその事業継続に疑念があることを読者に注意喚起する記述です。

一方、東証は、2015年9月、東芝による過去5年度分の訂正報告書の提出を受けて、特設注意市場銘柄に指定しました。その1年半後の2017年3月には上場廃止となる恐れがあることから「監理銘柄(審査中)」に指定しました。現状、有価証券報告書が提出されていない状況ですが、東証は、東芝に連結貸借対照表を提出させ、2017年3月末で債務超過となっていることを確認した上で東証1部から2部に降格しました。監査法人の監査を受けていない財務諸表で東証が2部降格を判断したのは異例の措置でした。

これからも東芝から目を離すことができません。

本日も【ビズサプリ通信】をお読みいただき、ありがとうございました。

文:株式会社ビズサプリ メルマガバックナンバー(vol.058 2017.8.2)より転載

久保 惠一

学歴:1976年 大阪大学経済学部卒業

職歴:大学在学中に公認会計士試験に合格し、監査法人トーマツに入社。カナダバンクーバーの提携先会計事務所で実務経験。大手メーカーや銀行などの会計監査と株式上場支援を経験。監査法人内でリスクコンサルティング事業を立ち上げ、15名から450名の組織に拡大した。 監査法人トーマツのボードメンバー、デロイトトーマツリスクサービス株式会社代表取締役社長、トーマツ企業リスク研究所所長、情報テクノロジー本部長を歴任。石油公団資産評価・整理検討小委員会、東京電力点検記録等不正の調査過程に関する評価委員会、総合資源エネルギー調査会石油部会、原子力施設安全情報申告調査委員会などの政府委員会に参加。大手信販会社総会屋利益供与事件、信用情報機関の個人情報漏洩事件、東京2020オリンピック・パラリンピック招致に関わる海外支払の調査に関与。 元中央大学大学院客員教授

資格:•公認会計士•カナダ(ブリティッシュコロンビア州)勅許会計士

主な著書:•『東芝事件総決算』(単著、日本経済新聞社)•『水リスク−大不足時代を勝ち抜く企業戦略』(編著、日本経済新聞出版社)•『リスクインテリジェンス・カンパニー』(編著、日本経済新聞社)•『内部統制報告実務詳解』(編著、商事法務)


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