「音楽が売れない」時代に生き残る子会社戦略

救済型のM&Aもある。公務員宿舎だった新宿西戸山住宅跡地再開発の目玉事業で、「民間活力導入による国有地再開発第1号」としてバブル期の1988年に建設された「東京グローブ座」だ。著名な建設家である磯崎新氏が設計し、世界で最も有名な劇作家ウィリアム・シェイクスピアの劇場だった英国ロンドンの「グローブ座」を模して、舞台を円筒状の客席が囲む構造となっている。

鳴り物入りでオープンし、主にシェイクスピア劇を上演していたが、赤字続きで2002年に休館。ジャニーズ事務所が買収し、子会社の東京・新・グローブ座が運営している。ジャニーズ事務所の俳優やタレントが主演するミュージカルを中心に公演する劇場として生まれ変わった。

こうした子会社は、CDなどの音楽コンテンツが売れない時代に事務所の成長を持続する原動力となっている。ポスト音楽コンテンツの生き残りのカギは物販とライブ活動(コンサート、演劇)というのが、世界的な潮流だ。ジャニーズ事務所の子会社は、まさにこの流れに沿って設立されている。

2019年5月に音楽コンテンツを手がけるジャニーズ・エンタテイメントがジェイ・ストームに事業譲渡し、事実上の子会社再編を断行していることからも、グループ経営の軸足を祖業の音楽コンテンツから物販、ライブへ移していることは明らかだ。芸能界の老舗企業ながら、見事な子会社戦略といえるだろう。