アイルランドの製薬会社シャイアーの子会社化に伴って悪化していた武田薬品工業<4502>の財務内容の改善の動きが本格化してきた。

非中核事業売却で約6500億円を創出

武田薬品が5月14日に発表した2018年度の連結業績によると、非中核事業を手がけるテックプール社とマルチラブ社の売却で275億円(約2.5億ドル=1ドル110円で換算)を創出。

さらに2019年後半にやはり非中核事業であるドライアイの兆候・症状の治療薬「シードラ」と、手術用パッチ剤「タコシール」の売却で最大57億ドル(6270億円=同)を創出するため、非中核事業による資金創出の合計額は59.5億ドル(6545億円=同)となる。

同社は純有利子負債を、税引前利益に特別損益、支払利息、減価償却費を加えた数値(EBITA)の2倍以下に引き下げる目標を掲げており、この目標達成のため非中核事業の売却によって最大100億ドル(1兆1000億円=同)の資金を創出するとしていた。

武田薬品は消化器系疾患、希少疾病、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)を中核事業と位置付けており、これ以外の事業については今後さらに売却を進めることになる。

すでに目標の100億ドルのうち60%ほどはめどが立っており、加えて旧東京本社ビルや大阪本社ビルなどの不動産売却で1083億円、投資有価証券の売却で650億円の資金を創出しているため、武田薬品では純有利子負債をEBITAの2倍以下に引き下げる目標を3-5年で達成するとしている。

同日発表した2019年3月期の業績は、シャイアーの売り上げの一部が加わったため、売上高が2兆972億円と前年度比18.5%の増収となった。一方、営業利益はシャイアー買収関連費用1260億円を計上したため2049億円と同15.2%の減益だった。

2020年3月期はシャイアーの売り上げがフルに加わるため、売上高は3兆3000億円と同57.4%の増収となるものの、営業利益はシャイアー統合費用や企業結合会計などの影響で1930億円の赤字に陥る見通し。

文:M&A online編集部