葬儀社のM&Aによって、わずか3年で葬儀業界3位(同社推定)にまで浮上したライフアンドデザイン・グループの村元康社長は、早稲田大学の客員教授という異色の肩書きを持つ。2019年7月には、AI(人工知能)を活用した葬儀関連情報のデータ化に着手し、新たなビジネスチャンスを探るという。どんなビジネスが誕生するのか。村元社長に戦略を聞いた。

葬儀社からライフイベント企業に

-2019年1月31日に大阪で葬儀事業を手がけるセレサを完全子会社化しました。今後もこうした葬儀事業のM&Aを計画していますか。

「やみくもにM&Aを仕掛けていこうとは考えていない。うちからM&Aをお願いしたことはなく、相手との人間関係、信頼関係ができてからM&Aの話に入っている。相手から一緒にやってもらえませんかというのが今までのスタイルだ」

「当社グループの出店、競争戦略と合致するエリアに展開している葬儀社で、かつ当社グループに合流した場合にシナジー(相乗効果)が期待できるのであればM&Aを検討する。セレサをM&Aしたのは、一つには子会社である洛王セレモニーと葬儀事業を展開するエリアが近く、さらに家族葬中心というところでシナジーが見込めると考えたためだ。もう一つは、セレサが介護事業と看護事業を併営していたことがある。これは当社グループが葬儀業界以外にもライフデザイン企業として成長しようとする方向性に合っていた」

-2019年3月22日に社名変更した際に、葬儀やエンディング産業にとらわれず、すべての人々のライフデザインにかかわるプラットフォーマーを目指す、としました。セレサの介護事業と看護事業はその一つですが、その他にはどのような事業をお考えですか。

「これまで、葬儀というライフイベントのサービス提供を通じて、顧客と深い関係性を構築してきた。今後は、こうした顧客接点を活用して、葬儀やエンディング産業のみにとらわれず、顧客の人生におけるさまざまなライフイベント、つまり誕生、就学、就職、結婚、出産、子育て、退職などで生まれてくる新たなニーズにいち早く着目し、変化に対応したイノベーティブな商品やサービスを提供する」

-どのようにして顧客のニーズをつかむのですか。

「コンタクトセンターといって身分不相応なほどの電話の部隊を持っている。ここが葬儀後も連絡を取り、許可を得たうえでアンケートによる情報収集を行っている。今は情報を蓄積している段階で、将来はこれらデータを活用したビジネスを展開する」

-どのような情報が得られていますが、

「特に安く葬儀を済ませた方が後悔しているように思われる。葬儀後に人も呼ばないでこんなに簡単にやってよかったのだろうかという声が多いようだ。だからといって今はまだ、葬儀内容を決める時にアドバイスなどは行っていない。基本的には顧客の要望に沿った形でやっている。あとあとこうしたデータを活用しながら、どういう形のものがよいのか考えていこうと思っている。例えば、葬儀の後に、呼べなかった方を招いてお別れ会をするという提案もあるだろう」