【コロナ倒産】飲食、宿泊業まとめ。「点と線」で有名なあの店も

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東京国際フォーラムの公演中止が相次ぎ、ビアレストラン「レバンテ」破産の引き金になった

新型コロナウイルスが、日本の景気に深刻な被害をもたらしています。帝国データバンクによると、2020年3月の国内の景気動向を示す景気DIは、前月比6.2ポイント減の32.5。消費税引き上げから6カ月連続の悪化で、3月は過去最大の下げ幅となりました。国内景気は新型コロナウイルスの不確実性が高まり、緩やかに下降しながら景気後退局面は1年後も継続すると予測をしています。

新型コロナウイルスの影響を特に強く受けた業界が、インバウンド需要が急速に冷え込んだ宿泊業と、宴会の自粛や不要不急の外出制限で客足が遠のいた飲食業です。この記事は4月7日の時点でコロナ関連で破産や事業停止に追い込まれた、宿泊・飲食企業をまとめたものです。以下の情報が得られます。

・倒産企業一覧、情報
・苦境に陥るテナント家賃の支払い免除や猶予に動いている企業

非常事態宣言で破産件数は急増か

小説「点と線」に登場する「レバンテ」

コロナ関連で破産、事業停止した企業は外食企業で9件、宿泊業界で13件となっています(帝国データバンク東京商工リサーチのデータを基に集計)。

コロナ破産に至った初めてのケースが冨士見荘でした。この宿泊施設は1956年に開業した歴史ある温泉旅館です。愛知県、三河湾の西浦半島に位置する西浦温泉は、東海の熱海の異名を持つことで知られる温泉街。ピークの2005年12月期は5億5000万円の売上を計上していましたが、2013年ごろから経営の行き詰まりが表面化していました。最近は中国人観光客の団体ツアーを積極的に受け入れていたものの、新型コロナウイルスでキャンセルが相次いだ末に破産へと至っています。

コロナの景気への影響が表面化し始めた2月末から3月にかけては、もともと資金繰りに窮していた施設、飲食店が、コロナを機に店を閉めるケースが多くなっています。

【飲食業】

事業停止または破産手続き開始日 企業名 所在地 ブランド・店舗 事業内容 負債総額
2月25日 北海道三富屋 北海道夕張郡 くりやまコロッケ くりやまコロッケ」の製造販売。洋食レストラン「蔵」の運営 7446万円
3月2日 ルミナスクルーズ 兵庫県神戸市 ルミナス神戸2 ランチ、ディナー、ブライダルなどの観光クルーズ船を運航 12億4300万円
3月4日 花のれん 北海道網走市 花のれん 鮨かっぽう「花のれん」を運営 4000万円
3月20日 セブンレストランシステム 北海道札幌市 大衆食堂半田屋 「大衆食堂半田屋」のFC加盟店として札幌市内で2店舗を運営 1億3000万円
3月24日 アライドフーズ 北海道札幌市 運河亭 1990年に設立したバイキングレストラン「運河亭」を札幌市内で運営 -
3月25日 レバンテ 東京都中央区 レバンテ 東京国際フォーラム内のビアレストラン「レバンテ」を運営 -
3月31日 味春 熊本市東区 味春ランチ 「味春ランチ」の店名で事業所や官公庁等職域向けの昼食弁当を販売 -
3月31日 長浜将軍 福岡県福岡市 長浜将軍 「長浜将軍」ブランドで、福岡市などで4店舗のラーメン店を運営 -
3月31日 RIT 東京都渋谷区 果香(かか) 自由が丘と立川のチャイニーズカフェ「果香(かか)」を運営 1億1000万円


【宿泊業】

事業停止または破産手続き開始日 企業名 所在地 ブランド・施設名 事業内容 負債総額
2月21日 冨士見荘 愛知県蒲郡市 冨士見荘 西浦温泉の観光旅館「冨士見荘」を運営 -
3月6日 田村屋旅館 福島県耶麻郡 田村屋旅館 1886年に創業した老舗旅館。沼尻温泉内で最大規模の施設 4億円
3月19日 おやど 長野県木曽郡 ホテル木曽温泉 宿泊施設「ホテル木曽温泉」の指定管理業者 3000万円
3月23日 関西スターリゾート 大阪府大阪市 大阪国際交流センターホテル(運営受託) 大阪国際交流センターホテルの運営受託会社より業務を再受託 -
3月26日 星たる観光 三重県志摩市 星たる 全室露天風呂つきの宿泊施設「星たる(ほたる)」を運営 2億1000万円
3月30日 奥飛騨薬師のゆ本陣 岐阜県高山市 薬師のゆ本陣 飛騨温泉郷新平湯温泉の中でも最も古い温泉旅館の一つで、設備は地区最大規模 2億1000万円
3月30日 富士屋ホテル 茨城県潮来市 潮来富士屋ホテル 1979年竣工の「潮来富士屋ホテル」、千葉県香取市の「別館・開花亭」を運営 -
3月31日 原鶴温泉咸生閣 福岡県うきは市 原鶴温泉咸生閣 原鶴温泉の旅館「咸生閣(かんせいかく)」を運営 2億円
3月31日 瑞穂リゾート 広島県広島市 瑞穂ハイランド 経営不振に陥っていた西日本最大級のスキー上「瑞穂ハイランド」の事業を承継 30億円(グループ全体)
3月31日 とみや旅館 兵庫県美方郡 とみや旅館 兵庫県の湯村温泉にある老舗温泉ホテル 5億3000万円
3月31日 自然塾 北海道川上郡 名湯の森ホテルきたふくろう 2003年に「川湯国際ホテル」を買収し、「名湯の森ホテルきたふくろう」に改名 3億9000万円
4月1日 トラベルシリウス 岡山県真庭市 湯原国際観光ホテル菊之湯 宿泊施設「湯原国際観光ホテル菊之湯」、「ゆばらの宿米屋」を運営 4億7000万円
4月6日 長州観光開発 山口県萩市 萩グランドホテル天空 2003年に温泉施設「弘法寺の湯」を開設し、2004年12月に「萩グランドホテル天空」に改名 18億円

飲食業界では、老舗ビアレストラン「レバンテ」が3月25日に破産申請しました。「レバンテ」は1947年創業。もともと旧財閥系商社として設立され、その後休眠会社となっていました。別会社が運営するビアレストラン「レバンテ」が有楽町の再開発で移転するのに伴い、店舗の事業を承継。2003年に東京国際フォーラム内で営業を再開しています。「レバンテ」は日本のビアレストランの先駆けとなっており、松本清張の小説「点と線」にもたびたび登場することで知られていました。

観光クルーズ船を運航するルミナスクルーズも3月2日に民事再生法の適用を申請。再建策として、クルーズ船「コンチェルト」を運航する神戸クルーザー(本社:兵庫県神戸市)の親会社ファースト・パシフィック・キャピタル(東京都目黒区)が支援表明をしています。

ルミナスクルーズは、1000名の大型レストランシップとして、神戸中突堤を発着点に、神戸湾、大阪湾、明石海峡クルーズを運航。その他、ブライダル用の船も出していました。2018年の大阪府北部地震、豪雨、台風の他、2019年の台風、自然災害で運行中止が相次いでいました。インバウンドの依存度は低かったものの、コロナウイルスによるキャンセル増加で自主再建を断念しています。

緊急事態宣言により、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡は人の行き来が急減して一層深刻な事態に陥ります。間接的な影響だった新型コロナウイルスが、直接の原因となって破産、事業停止に追い込まれる会社が増加すると予想できます。

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