2019年外食M&Aの潮流を3つのニュースを軸に読み解きます。

すべてに共通して潜んでいるのが「消費者意識の変化の速さ」です。外食企業はニーズの変化に素早く対応しようとM&Aを活用し、そして時に振り回されているのがわかります。業界の「今」を象徴しているのがこの3つです。

                                         

懐石料理レストランが低価格居酒屋を買収

原宿駅前の「さくら水産」

「湯葉と豆腐の店 梅の花」や「和食鍋処すし半」を運営する梅の花<7604>が、3月居酒屋「さくら水産」のテラケンを買収しました。梅の花は、お祝い事などを主軸とした家族層にターゲットを絞っていました。今回、低価格路線の居酒屋業態を買収したことで、男性会社員層の取り込みに成功しています。

かつて外食企業は、顧客や市場動向を見極めて時代に沿った業態を開発してきました。しかし最近では、マーケティングや業態開発のスピードが消費者意識の変化についていけず、M&Aを活用するケースが目立ちます。

定食屋「宮本むなし」のSRSホールディングス<8163>が、11月にうどん・そば店の「家族亭」を買収しました。やまや<9994>傘下のチムニー<3173>は11月焼肉「牛星」のシーズライフを子会社化して、焼肉業態を取り込みました。同じく居酒屋の海帆<3133>も立ち食い焼肉「治郎丸」の弥七を5月に買収しています。10月には居酒屋「甘太郎」を展開するコロワイド<7616>が、大戸屋ホールディングス<2705>筆頭株主になりました。業界のこうした動きは今後も加速するものと予想されます。

手っ取り早く多業態化ができ、集客チャンネルが広げられるM&Aですが、苦労も多いものとなります。

梅の花が買収したテラケンは2018年2月期の売上が52億3700万円、営業損失が2億6500万円で3期連続の営業赤字です。まずは不採算店の見直しが不可欠。それから各店舗の原価を適正水準に落とし、人材の最適化や販促費を抑えて、営業利益が出る状態にしなければなりません。その道のりは痛みを伴うものとなります。

梅の花は2020年4月期第2四半期において、店舗の閉鎖等による減損損失3億5900万円を計上。その影響で、2020年4月期の純損失を3億3000万円から7億1500万円に下方修正しています。