「いきなりステーキ」を運営するペッパーフードサービス<3053>にGC注記が付きました。GC注記とは、継続企業の前提に関する注記のこと。これは、事業が継続するかどうかわからない不確実性が認められるという注意喚起のことです。一言でいうと「企業の存続が危ぶまれる状況にあります」ということです。

過剰出店による客数の急減や、不採算店舗の閉鎖を急いでいること、業績不振が続いていることは良く知られています。しかし、ペッパーフードサービスが今一番苦心しているポイントは、現金が足らないことであり、それを補填するための資金調達の道が閉ざされたことです。

何となくヤバそうということは知っているものの、何がヤバいのか今一つピンとこない。そんなビジネスマンに向けた記事です。

ペッパーフードサービスの苦境は3つに集約されます。

・現金が不足していること
・借金が膨らんでいること
・資金調達ができないこと

現金24億6900万円に対し、1年以内に返す借金は32億8100万円

不測の事態に襲われたペッパーフードサービス(画像はイメージ Photo by PAKUTASO)

ペッパーフードサービスは現金が不足しています。まずは、そこを詳しく説明します。

有価証券報告書によると、2019年12月期末の段階で保有している「現金及び預金」は24億2200万円でした。その一方で、1年以内に返済すべき長期借入金が32億8100万円あります。手持ちの資金に比べて、年内返済予定の借金が1.4倍もあるのです。しかも、退店費用などが嵩んでいるペッパーフードサービスは、営業活動によるキャッシュフローがマイナスの状態です。

手持ちの現金がなくても、将来的な現金化が約束されている売掛金で借金を賄えば良いのではないか。そう思うかもしれません。しかし、同社の期末時点での売掛金は22億8600万円。それに比べて、取引先などに返済すべき買掛金が65億6200万円もあります。買掛金が売掛金を2.8倍も上回っているのです。

すなわち、ペッパーフードサービスは、年内に返済すべき借金と買掛金が、現預金と売掛金を2倍以上も上回っている状態なのです。とにかくキャッシュが足らない。ここが問題の1つ目のポイントとなります。

そこまで危機的な状況に追い込まれたのならば、銀行から借りれば良いと思うかもしれません。しかし、同社は2019年12月期で長期借入金が20億円以上増加しています。財務レバレッジは50倍にも及ぶのです。

財務レバレッジとは、総資産を自己資本で除したもの。借入金をテコとして活用し、総資産が自己資本の何倍になるかを表したものです。自己資本だけで経営していれば1倍となります。

借入金に依存しているといわれるソフトバンクグループ<9984>の財務レバレッジが4.7倍、ステーキ店を展開する競合のあさくま<7678>が1.3倍、ブロンコビリー<3091>が1.2倍です。サービス業の平均が5倍程度と言われています。ペッパーフードサービスの、財務レバレッジ50倍という数字が、いかに桁外れなものかがわかります。すでに過度に借入金に依存している状態なのです。

そのため、銀行が積極的に貸したがらない。これが2つ目のポイントになります。

銀行からの借り入れができないのならば、株式を発行して資金を調達すれば良い。そう思うかもしれません。そして、実際にペッパーフードサービスは新株予約権によって資金を得ようとしました。しかし、それがうまくいかないのです。