新型コロナウィルスが世界経済に深刻なダメージを与えています。特に自粛要請で甚大な影響を受けたのが、外食業界。3月、4月は歓送迎会シーズンで、居酒屋業界では12月の忘年会に次ぐ繁忙期に数えられます。コロナが2月の居酒屋企業に与えたインパクトは比較的軽微でしたが、3月の売上は前年対比で40~60%程度と深刻な事態が見込まれています。個人店などの小規模な店舗は、家賃や人件費が払えず閉店へと追い込まれるケースも目に付くようになりました。

キャッシュが回らなければ倒れてしまう、それは大企業でも同じです。コロナ禍を乗り越える重要なカギこそが現金です。上場居酒屋企業の現金保有率をランキング形式でまとめました。

寿司居酒屋「や台ずし」のヨシックスがトップ

居酒屋にぱち
ヨシックスの新業態「居酒屋にぱち」(画像は決算説明資料より)

ランキングは現預金月商比率が高い順番で並んでいます。現預金月商比率は、月商に対して現金同等物をどのくらいの割合で保有しているかみるものです。中小企業で月商の1.5~3倍、大企業で1倍の現金保有が目安といわれます。金融機関が企業の安全性を確かめるための指標として使っています。

※ランキングは、直近通期の売上高が100億円以上で、居酒屋やダイニングなどの店舗を展開している企業を中心に調査しています。現金は、直近通期の有価証券報告書から「現金及び現金同等物」の金額です。月商は通期売上高を12で割った数字です。数字はすべて直近通期の有価証券報告書のものとなります。

【現金保有率ランキング(百万円)】

順位企業名ブランド売上月商現金現預金月商比率総資産現金が総資産に占める割合
1ヨシックス や台ずしなど 17,934 1,495 5,751 3.8 10,633 54.1%
2SFPホールディングス 磯丸水産など 37,751 3,146 8,204 2.6 22,585 36.3%
3ジー・テイスト 村さ来など 24,798 2,067 5,346 2.6 22,425 23.8%
4大庄 庄や 61,032 5,086 12,800 2.5 42,805 29.9%
5ハブ HUB 11,550 963 2,047 2.1 5,903 34.7%
6串カツ田中 串カツ田中 10,010 834 1,646 2.0 5,578 29.5%
7チムニー はなの舞など 45,685 3,807 7,193 1.9 28,146 25.6%
8梅の花 梅の花 19,499 1,625 2,885 1.8 28,737 10.0%
9コロワイド 甘太郎など 244,360 20,363 33,854 1.7 222,301 15.2%
10三光マーケティングフーズ 金の蔵Jr.など 10,701 892 1,420 1.6 6,795 20.9%
11鳥貴族 鳥貴族 35,847 2,987 4,190 1.4 17,127 24.5%
12DDホールディングス 九州熱中屋、わらやき屋など 50,973 4,248 5,801 1.4 26,553 21.8%
13ワタミ ミライザカ、鳥メロなど 94,701 7,892 9,946 1.3 40,273 24.7%
14ヴィア・ホールディングス 魚や一丁など 26,778 2,232 2,643 1.2 16,530 16.0%
15テンアライド 天狗など 15,271 1,273 1,421 1.1 9,105 15.6%
16エー・ピーカンパニー 塚田農場など24,577 2,048 2,161 1.1 10,651 20.3%
17ワイズテーブルコーポレーション XEX 13,773 1,148 963 0.8 4,621 20.8%
18ジェイグループホールディングス 芋蔵など 15,056 1,255 537 0.4 11,324 4.7%
19ダイナックホールディングス響、鳥どりなど 37,190 3,099 587 0.2 14,852 4.0%

※直近通期有価証券報告書報告書より筆者作成

トップを独走したのがヨシックス<3221>。寿司居酒屋「や台ずし」や全品280円の格安居酒屋「ニパチ」などを全国展開しています。現預金月商比率は安全と言われる3倍を余裕で超えています。総資産に占める現金の比率も54.1%となっており、他社と比較して圧倒的に高くなっています。流動比率は231%。安全性の高い企業だといえます。

第2位は、2013年にクリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>に買収された、SFPホールディングス<3198>です。「磯丸水産」や「鳥良」などの居酒屋を展開しています。SFPは2019年から活発にM&Aを実施しています。「前川水軍」を運営するジョー・スマイル(本社:熊本県熊本市)、「からあげセンター」のクルークダイニング(本社:長野県安曇野市)を次々と子会社化しました。攻めの経営をする一方で、安全性もしっかり確保しています。現預金月商比率は2.6、総資産に占める現金の割合は36.3%です。

居酒屋「村さ来」、「アントニオ猪木酒場」などを運営するジー・テイスト<2694>が3位となりました。現預金月商比率は2.6となっています。総資産に占める割合は、SFPよりやや低い23.8%です。