小僧寿し<9973>がJFLA ホールディングスとEVO FUNDを引受先とした第三者割当増資を実施します。発行する株式の総数は9200万株で、希薄化は296%。調達総額は9億9700万円となります。
同社は現在、9億5000万円の債務超過状態です。今期中に債務超過を回避できなければ、上場廃止になります。そして今回、上場廃止ギリギリの300%希薄化水準をクリアする株式を発行し、何とか債務超過を解消できました。
小僧寿しはこのタイミングで中期経営計画を発表し、3年後に売上を2倍にするなど再出発を印象付けています。しかし営業キャッシュフローは2期連続のマイナス。今は理想を掲げるよりも、経営体制の見直しなど、抜本的な改革が必要な時期がきているように見えます。
デリズののれん7億9000万円を全額減損で債務超過に

小僧寿しが債務超過に陥った原因は、2018年に買収したフードデリバリーのベンチャー企業デリズ買収によるものです。当時デリズは3億7000万円の債務超過状態であり、営業利益は2300万円ほど。そのデリズを2億8000万円で買収した小僧寿しは、7億9000万円もののれんを計上することとなったのです(詳しい記事はこちら)。
小僧寿しは2018年12月期に即刻デリズののれんを全額減損し、10億4700万円の債務超過となりました。何度か資金調達を繰り返したのち、296%もの希薄化を伴う今回の第三者割当増資へと至ったのです。しかも、EVO FUND向けに発行する5200万株分のワラントは、行使価額が11円(発表時の株価は30円前後)という驚きの安さ。何としてでも資金を調達しようとする姿勢が如実に表れています。
泥沼脱却の兆しを見いだせた小僧寿しは、非開示だった業績見通しを8月30日に発表しました。2019年12月期の経常損失は3500万円(前期6億700万円の赤字)と赤字幅は縮小し、純利益は500万円(前期16億7800万円の赤字)と黒字転換すると予想しました。
【単位:百万円】
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
---|---|---|---|---|
2019年12月期予想 | 6,035 | ▲55 | ▲35 | 5 |
2018年12月期 | 5,517 | ▲591 | ▲607 | ▲1,678 |
※小僧寿し「連結業績予想に関するお知らせ」より
5億円増収の大きな要因の一つとして、持ち帰り寿司「小僧寿し」と「茶月」に、唐揚げ店を併設した「寿司+唐揚げ」の新店舗開発があります。テスト45店舗(全店舗数は251)において、売上高は昨対で120%、月間の売上高は27万円の増加となりました。
小僧寿しは「寿司+唐揚げ」店を30店舗追加(業態転換)し、更に「とんかつ」「天丼」「海鮮丼」などの複合ブランド店舗を開発して立て直しを図ります。