「吉野家」巻き返しの狼煙か フィリピンで合弁設立へ

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東京・有楽町の店舗

吉野家ホールディングス(HD)<9861>がコロナ後を見据えた動きを見せている。同社は2021年2月16日に、子会社のYOSHINOYA INTERNATIONAL PHILIPPINES INC.(YIPI)がフィリピン外食最大手のJollibee Foods Corporation(JFC、パシグ市)と合弁会社を設立すると発表した。

フィリピンで牛丼店「吉野家」ブランドを拡大するのが狙いで、2021年5月に折半出資会社JOLLIBEE YOSHINOYA INC.(パシグ市)を設立し、今後10年間で「吉野家」を50店出店する。

吉野家HDの2021年2月期は営業、経常、当期の全段階で赤字に転落する見込みで、大幅な減益ながら黒字を確保する「すき家」を展開する牛丼最大手のゼンショーホールディングス(HD)<7550>に水をあけられた格好だ。

海外事業の成長拡大を経営戦略の一つとして掲げる吉野家HDにとって、今回のフィリピンでの取り組みは巻き返しの狼煙となるだろうか。

フィリピンで合弁会社を設立

合弁相手のJFCはフィリピンで外食店3257店舗(2020年12月末時点)を展開する同国最大のフードサービスやレストランの運営会社で、フィリピンでは「Jollibee」「Chowking」など五つのブランドを持つ。

世界では、33カ国で16ブランド5824店舗を展開しており、2019年12月末時点の従業員数は4万5006人に達する。

吉野家HDはフィリピンを戦略的出店地域と位置づけ、1992年から「吉野家」ブランドをフランチャイズ展開しており、コロナ後のさらなる成長のためにJFCとの合弁に踏み切った。子会社のYIPIが合弁会社とフランチャイズ契約を結び、「吉野家」の出店を加速させるという。

業績に大きな差

吉野家HDの2021年2月期の売上高は1723億円(前年度比20.3%減)、営業損益は87億円、経常損益は78億円、当期損益は90億円のいずれも赤字に転落する見込み。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、店舗の休業や営業時間の短縮などを余儀なくされたのが響いた。

ゼンショーHDの2021年3月期の売上高は6254億300万円(前年度比0.8%減)、営業利益は88億3900万円(同57.7%減)、経常利益は73億9600万円(同62.8%減)、当期利益は10億円(同91.7%減)と黒字を確保できる見込み。

同じコロナ禍の環境下ながら、業績に大きな差がついていることは否めない。

日本では新型コロナウイルス向けのワクチン接種が2021年2月17日から医療従事者を対象に始まり、4月以降は高齢者への接種も予定されている。

海外でもワクチン接種が広がっており、制限されている経済活動が再開される日は遠くない。吉野家HDはコロナ後にスタートダッシュを切れるだろうか。フィリピンに次ぐ積極策もありそうだ。

文:M&A Online編集部

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