公開日付:2021.02.05
WEBやアプリで情報無料化に新型コロナの旅行、外出自粛が響く
地図やガイドブックの「まっぷる」を発刊している(株)昭文社ホールディングス(TSR企業コード:293119023、千代田区、東証1部)が2月5日、2020年4-12月(連結)の純利益が8億700万円の赤字(前年同期200万円の赤字)だったことを発表した。新型コロナ感染拡大は航空や旅行会社など観光業界を直撃しているが、その余波が広がっている。
昭文社HDの2020年4-12月は、売上高45億8200万円(前年同期比19.0%減)、営業利益6億5300万円(前年同期2億2200万円の赤字)、純利益8億700万円の赤字(同200万円の赤字)と売上が落ち込み、赤字幅が広がった。2021年3月期(連結)通期予想も純利益は11億9000万円の赤字(前年は1億2900万円の黒字)を見込んでいる。
新型コロナの影響で、発売を延期していた新規の海外旅行ガイド本を廃棄することも発表。海外渡航の規制状況などからこれ以上発売時期を見送ることは情報鮮度が落ちるとして発売を中止した。
昭文社HDは、WEBやアプリによる情報無料化の広がりで、主力の地図やガイドブックなどの出版物が不振に陥っていた。構造改革や情報の付加価値を高め、2020年3月期は4年ぶりに黒字転換したが、新型コロナで再び赤字転落を見込んでいる。
20年4月に続き、今年1月にも再び11都府県に緊急事態宣言が発出され、人の流れが止まり旅行業界は苦境が長引いている。政府が推進した「Go Toトラベル」で一時的に明るさを取り戻しかけたが、第三波の襲来で再び停止している。旅行関連では航空大手のANAHDやJAL、旅行大手のJTBも通期で赤字決算を予想している。
コロナ禍の中、牛丼チェーンの吉野家ホールディングスと、小売業最大手のイオンに業績回復の兆しが現れてきた。緊急事態宣言の対象エリアが広がる中、吉野家とイオンの状況はどうなるのか。