あの貝殻の「シェル(SHELL)」マークがもうすぐ消えていく…!

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「シェル」のサービスステーション(東京都三鷹市)

貝殻で知られる「シェル(SHELL)」マークがサービスステーション(SS)から姿を消す日が近づいてきた。出光興産が昭和シェル石油を経営統合して2年となる4月以降、出光のシンボルである「アポロ」マークに順次、一本化を進めるためだ。シェルは英国発祥で世界的な石油会社に発展を遂げたが、その日本での歴史とは?

SSブランド、「シェル」を「アポロ」に転換

出光興産が全国に展開するSSは6324カ所(2020年12月末)。内訳は出光系列が3430カ所、旧昭和シェル系列が2894カ所を数え、2つのSSブランドが併存している。SSの統一ブランドは「apollostation(アポロステーション)」で、人の横顔を模した「アポロ」マークを組み合わせた。

アポロとはギリシャ・ローマ神話に登場する太陽神のこと。出光を象徴するマークとして長年使われてきた。今回のデザインでは髪がなびく様子を変えたり、顔の周りに配置していた円をなくしたりするなどの変更が行われた。この新アポロマークは昨年7月に刷新されたコーポレートブランドでいち早くお目見えしている。

出光興産の新コーポレートブランド(東京・大手町の本社前)

ライジングサン石油以来、120年に及ぶ歴史

業界最大手のENEOSホールディングスの場合も、旧東燃ゼネラル石油系の「エッソ」「モービル」「ゼネラル」は消滅し、数年をかけて旧日本石油のSSブランド「ENEOS」に一本化された。出光と昭和シェルの統合新会社は2019年4月にスタートしたが、出光主導の経営統合だっただけに、SSからシェルマークがなくなるのは時間の問題だった。

日本におけるシェルは1900(明治33)年にさかのぼる。1876年から横浜で貿易業を営むサミュエル商会が石油部門を独立させ、ライジングサン石油が設立したことに始まる。日本でサミュエル商会を立ち上げた人物こそが、後にシェルを創業するマーカス・サミュエル。英国育ちのユダヤ人で、1902年にロンドン市長にもなった。

1907年にはシェルとオランドのロイヤル・ダッチが連合し、今日にいたるロイヤル・ダッチ・シェルが誕生した。ライジングサン石油はロイヤル・ダッチ・シェルの日本拠点として活動してきたが、1941年の太平洋戦争開戦で資産が敵国財産管理に置かれ、会社は閉鎖された。

一方、戦時体制を受けて国産勢は早山石油、新津石油、旭石油の3社が合併し、昭和石油が発足した。

1985年に合併で昭和シェル石油が誕生

ライジングサン石油は終戦とともに日本での事業を再開し、1948年にシェル石油に社名を改めた。新生・シェル石油と急接近したのが昭和石油。

1953年にシェル石油は昭和石油の株式50%を取得し、事実上、同社を傘下に置いた。石油メジャー(国際石油資本)の一角をなすロイヤル・ダッチ・シェルをバックとするだけあって、彼我の差は圧倒的だったのだ。

シェル石油と昭和石油の両社が合併して昭和シェル石油をスタートしたのは1985年。当時、精製・販売を手がける石油元売りは10数社がひしめき、過当競争を繰り広げた。それが現在では、ENEOSホールディングス、昭和シェル石油を統合した出光興産、コスモエネルギーホールディングス(大協石油、丸善石油が母体)の3グループに集約された。

石油業界再編の系譜をたどりながら、見納めが近くなってきた「シェル」マークに思いをはせてはいかがだろうか。

見納めが近くなってきた「シェル」マークの看板(東京都千代田区で)

文:M&A Online編集部

M&A Online編集部

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