2021年の希望退職者募集、早くも10社を突破|JTが1000人規模、コンビニのポプラも

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昨年10月の本社移転前、JTの旧本社ビル(東京・虎ノ門)で撮影

上場企業による希望退職者の募集が今年に入り、早くも10社(計画発表ベース)を突破した。9日だけでJT、日本金銭機械、ポプラ、ライトオンの4社が計画を発表し、年明けから13社(一覧表)に上る。前年は2月末までの2カ月で11件だったが、これを1カ月余りで上回るハイペースだ。

新型コロナウイルス感染症の収束が見通せず、外出を控える動きが長期化するなど、企業業績の先行きは不透明感を拭えないままで、今後、人員合理化への圧力がさらに強まりかねない。

JT、たばこ事業の本社機能をスイスに一元化

JTは9日、たばこ事業の運営体制を見直すのに合わせ、正社員を対象に1000人規模の希望退職を実施すると発表した。同時に、定年退職後の再雇用社員などシニア社員(パートタイマーを含む)でも150人規模の希望退職を募る。

同社は日本市場を含むたばこ事業の本社機能を、海外たばこ事業の統括拠点があるスイス・ジュネーブに2022年1月に集約・統合する。国内では九州工場(福岡県筑紫野市)や子会社の日本フィルター工業の田川工場(福岡県田川市)を2022年3月末に廃止するなどのリストラ策を決定した。

同社は国内たばこ市場の縮小に伴い、これまで英国、米国のたばこ大手を次々に買収し、ロシアやアジア新興国でも同様の戦略を進め、たばこ事業の軸足は事実上、海外に移っている。

日金銭、コロナ禍のキャッシュレス化が打撃に

コロナ禍が思わぬ形で波及したのは貨幣処理機大手の日本金銭機械だ。同社が主力とするのは紙幣を識別したり、硬貨を数えたりする製品。

ところが、コロナ感染拡大を契機とするキャッシュレス化の拡大で需要減退に直面し、売り上げが落ち込んでいる。こうした傾向はコロナ収束後も続くとみて、事業規模に見合った人員体制を構築し、早期に業績回復を目指す。45歳以上勤続3年以上の正社員・再雇用契約社員を対象とする。

カジュアル衣料品チェーンのライトオンは40歳以上60歳以下の正社員を対象に40人程度を3月に募る。不採算店舗の撤退、粗利益率改善などの改革を進めてきたが、コロナ禍の影響の長期化を踏まえ、人員体制の見直しに踏み込む。

ポプラ、コンビニでは昨年のファミマに次ぐ

ローソン系のコンビニ中堅、ポプラは30歳以上59歳以下の正社員を対象に約50人の希望退職を3月に実施する。北陸・中部地区からの事業撤退、営業拠点の統廃合、工場・センター機能の集約などに伴い、要員の適正化につなげる。

コンビニ業界では1年前の昨年2月、ファミリーマートが800人規模で希望退職(1025人退職)を実施して以来となる。

2月はほかに、アパレル大手のワールドが構造改革の追加実施に伴い約100人の希望退職を募集することを決めた。不採算の7ブランドを廃止し、来期(2022年3月期)に約450店舗を閉店する。同社は昨年9月に200人規模の希望退職を募集(応募294人)したばかり。半年余りの間で再実施となったことはアパレル不況の深刻さを物語る。

昨秋に続き希望退職を実施するワールド(写真は東京オフィス、東京・青山)

2020年に希望退職者募集の計画を発表した上場企業は少なくとも年間93社を数え、前の年の2.6倍に急増した。新型コロナ禍の影響拡大は外食やアパレル、観光関連にとどまらず、製造業を含む産業界全般に及んでいる。

◎2021年に入り、希望退募集を発表した企業

発表日 社名 募集人員、カッコ内は募集期間
2月2日 エンプラス 定めず(2月16日~3月5日)
 3日  ワールド 約100人(3月9日~19日)
 9日  ポプラ 約50人(3月1日~19日)
 〃 JT 1150人規模(退職は2022年3月末)
 〃 日本金銭機械 60人程度(3月8日~19日)
 〃 ライトオン 40人程度(3月1日~16日)
1月13日 シャルレ 定めず(1月13日~29日)
14日 かんなん丸 80人程度(3月1日~10日)
20日 ヴィア・ホールディングス 約50人(2月15日~25日)
21日 三陽商会 150人程度(2月15日~3月5日)
22日 IMAGICA GROUP 100人程度(本体10人、子会社90人)
29日 佐鳥電機 30人程度(3月15日~31日)
   〃  東京コスモス電機 30人程度(3月1日~12日)


文:M&A Online編集部

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2021/02/03

希望退職募集の動きが2021年も年明けから相次いだ。アパレルの三陽商会が150人程度を募るのを筆頭に、外食2社を含めて7社が計画を発表した。緊急事態宣言が1カ月延長されたことで、業績の戻りはさらに遠のき、リストラ圧力が一層強まりかねない。

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