2017年外食産業のM&A動向を語るうえで、外せないキーワードが2つある。1つは「海外進出」。2つ目は「ポートフォリオの拡大」だ。日本フードサービス協会によると、2016年の外食産業市場規模は昨年比0.1%増の25兆4169億円と微増。市場規模は大きいものの、今後爆発的な成長は見込めない。M&Aは企業戦略を進める上での、手段の1つ。外食企業が買収を仕掛ける目的は、海外のマーケットを開拓するか、業態を広げて国内市場を取りに行くか。その2つに収れんする。

スシローグローバルホールディングス
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元気寿司の海外ノウハウがほしいスシロー

 海外展開を視野に入れたM&Aニュースといえば、スシローと元気寿司の経営統合に向けた動き。米卸大手の神明が9月、英投資ファンド「ペルミラ」からスシローグローバルホールディングス<3563>の株式33%を379億円で取得した。

 神明はすでに元気寿司を傘下に収めている。神明はスシローと元気寿司の経営を統合し、スシローの海外進出を狙う。スシローの海外店舗数は8。今期は2店舗を撤退している。一方、元気寿司は海外の店舗数が165。直販とフランチャイズを組み合わせて着実に拡大してきた。

 今期27店舗を出店したスシローは、他店との苛烈な価格競争に巻き込まれること必至。今年3月に上場したばかりのスシローは、投資家にアピールするための企業戦略を描かなければならない。そのためにも、海外展開のノウハウが必要だ。元気寿司との統合でノウハウを吸収し、海外進出に弾みがつけられる。

 2社の背後に潜んでいるのが、神明という点もポイント。国内のコメ消費が冷え込む中、自社のコメの販路拡大も目論んでいる。

虎視眈々と米外食ベンチャーを狙うトリドール

 丸亀製麺のトリドールホールディングス<3397>がとった海外戦略は独特。同社は7月13日に、外食企業に出資をする米投資ファンド「ハーゲット・ハンター」への出資を決定した。出資することにより、アメリカで成長している外食企業ベンチャーの情報をいち早く入手することができる。

 ハーゲット・ハンターは、人気のチョップドサラダ系飲食店「CHOPT」をいち早く見出し、チェーン展開したことで有名。トリドールは、フランチャイズ化する前の飲食店の芽を刈り取ろうとしている。同社はアジア地域で177店舗、アメリカは5店舗。出遅れ気味のアメリカ出店を本格化する。

 ラーメン店「一風堂」を展開する力の源ホールディングス<3561>も、海外展開に力を入れている企業。同社は6月にインドネシアの飲食企業を2700万円で買収した。海外で65店舗を運営しており、今後出店を更に加速する。現在の出店重要拠点はアメリカ。これからはアジアでの拡大に力を入れる。

 インドネシアは人口2億3200万人と、世界第4位。これまで外資企業に対する資本規制があったが、2016年5月に緩和。レストラン経営が自由にできるようになった。人口の多い国だけに、今後出店する企業が増えるだろう。