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雪国まいたけの経営を神明に託したベインキャピタルはやはり優秀だった

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コメ卸最大手の神明が、雪国まいたけの株式49%を取得します。投資額は50億円以上(2017年7月22日付日経新聞の記事より)。神明は売上高1600億円以上、国内のコメシェア7%を占める巨大企業で、弁当やおにぎりだけでなく、元気寿司やワタミなどの飲食店にもコメなどを提供。今回の出資により、まいたけの流通ルートを拡大して、キノコの国内販路拡大を狙う他、海外への輸出も睨んでいるよう。

この一件の陰の立役者こそ米投資ファンド大手のベインキャピタルです。すでに、雪国まいたけの株を100%取得しているベインキャピタルは、神明と9月に持ち株会社を設立。雪国まいたけ=49%神明+51%ベインキャピタルという図式にします。ベインキャピタルは今回、神明から50億円を手にした他、3年後に雪国まいたけを上場させて「うっはうっは」しようと計画中です。2015年、銀行とファンドのオモチャにされた雪国まいたけ。「海外の金融屋に、まいたけの何がわかる!」と凄んでいた創業者の大平善信氏ですが、やっぱり青い目のあの人らは凄いっす、やり手っす、という話です。

この記事では以下の情報が得られます。
①雪国まいたけの買収劇
②不可能を可能にした大平善信氏の凄まじい人生
③ベインキャピタルの巧妙な戦略

雪国まいたけのキャラクター『雪ちゃん』(ゆるキャラグランプリオフィシャルウェブサイトより)

雪国まいたけの買収は、銀行の担保権で株式を取り上げられた「マジかよ!」案件でした

2015年2月、ベインキャピタルが東証2部上場企業だった雪国まいたけを、公開買い付けした一件を覚えていますか? 245円でのTOBが発表された当時、210円前後だった株価は、一時287円のストップ高にまで急騰しました。
このニュースを聞いたとき、「雪国まいたけって、そもそも上場してたんだぁ」ぐらいに思った人が多いはず。売上高280億円程度の企業が、95億円そこそこで買われたからって、大した興味は湧かなかったと思います。
しかしながらこの買収劇、大変面白いドロドロのドラマが隠されていたのでした。何しろ、経営陣・銀行・ファンドの3つが、創業者(筆頭株主)を無理やり退けたという、前代未聞のケースなのです。

時系列で表すと、こんな感じです。

※( )は筆者のイメージ

▼創業者・大平善信氏が強烈なリーダーシップをとる雪国まいたけは、(社員を追い込んで無茶をさせる典型的な)ブラック企業となっていた

▼(怒髪天を衝いた)元取締役が、過去の不適切な会計処理を告発。大平善信氏が引責辞任(ホッと胸を撫でおろす社員たち)

▼イオン出身の星名光男氏が社長に就任するものの、筆頭株主の創業者一族が解任を要求し、追放(陰の支配者の存在を思い知り、震える社員たち)

▼ホンダ元専務の鈴木克郎氏が会長兼社長に就任

▼わずか数か月で、鈴木氏率いる経営陣と創業者の間に亀裂が生じ、株主総会で圧力をかけはじめる(「総会屋かよ」と呆れ顔の経営陣)

▼創業者と同じ考えを持つ取締役を社内に送り込もうと画策(「俺たちの手に負えねぇ」と思い始める経営陣)

▼ベインキャピタルの登場(「ワタシがヒトハダ脱ぎマス」)

▼銀行が創業者一族排除計画に乗っかる(「だってこのままじゃ上場廃止になるだろ」)

▼創業者一族の株式は64%。TOBでベインキャピタルがそれ以外のすべての株を手に入れても1/3程度。TOBが成立しない(大平氏「あんな奴ら、靴の中の小石くらいのもんじゃい」)

▼38億円の貸し付けをしていた第四銀行などが、担保権を行使。50%超の株式取得に成功
※担保権:借金のカタ(この場合は株式)を取り上げること

▼大平氏は弁護士に相談する(「ドラえもーん」)も、裁判をしても勝ち目がないと結論づける

▼めでたくベインキャピタルによるTOBが成立

興味深いのは、ファンドに雪国まいたけを買収させるため、銀行が担保権を行使したことです。
大平氏は返済が滞っていたとはいえ、金利に相当する金額の支払いはしていたようです。それにも関わらず、銀行は半ば強引に担保権を行使し、株式を取得しました。しかもその目的が経営再建をさせるため、です。
よほど心配だったのでしょう。実際、東証に目をつけられていたなど、社会的に「ちょっとこの会社は…」という見方が大半でした。だからこそ成功した秘策中の秘策です。

この作戦の中心にベインキャピタルがいました。凄い、と唸るほかありません。

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