チムニー<3178>とマルシェ<7524>の資本業務提携は居酒屋業界の生き残りをかけたゲームだ!

売上高480億円、業界4位のチムニーが、売上高90億円規模のマルシェの発行済株式11.2%を6月27日に取得しました。出資額はおよそ8億円です。資本業務提携の目的は、食材の共同購入によりコスト削減を行い、人材交流を促して社員のモチベーションアップを図るというもの。消費者や投資家からすれば、取るに足らない小さな資本業務提携です(実際、チムニーの株価はほとんど動きませんでした)。

ところが実は今回の提携は、居酒屋業界の熾烈な戦いにおける生き残り策を表しているのでした。土俵で繰り広げられる大手居酒屋企業同士の戦いは、大きな転換期を迎えているのです、という話です。 

 この記事では以下の情報が得られます。
①チムニーという企業のこと
②マルシェの業績
③大手居酒屋企業が抱えている問題点

格好の食材卸先となったチムニー

チムニーは全国746店舗(直販:338、コントラクト91、フランチャイズ285)を展開する企業です。居酒屋「はなの舞」が主力。その他に「さかなや道場」「魚鮮水産」など、海鮮系に強みを持っています。リーズナブルな値段で、サラリーマンや学生を取り込みました。

この企業はやや複雑な歴史を辿りました。こんな感じです。

▼チムニーの変遷

年月沿革
1984年 イオングループが主体となって設立
1997年 食肉メーカー米久が買収
2005年 ジャスダック上場
2008年 MBOにより上場廃止、投資ファンド カーライルの傘下に
2012年 東証二部上場
2013年 酒販大手やまやがTOB
2014年 東証一部指定替え

この変遷を会話で表すと、こんな感じです。

イオン:「俺たち、ジャスコでめっちゃ儲かってるじゃん。この勢いで、外食に参入しようぜ。ほら、大庄みたいにさ(このころ、『庄や』『やるき茶屋』などがブーム)。フランチャイズ展開でガッポガッポ。チムニーって名前でやってみるか」

チムニー:「やっべー、今月も全然売上足らねぇ」

イオン:「いつまで俺たちのお荷物になるつもりだ、てめぇ。この穀潰しが」

米久:「その子をウチが買いましょう。食肉の販売先拡大にちょうど良さそうだ。我々はビールも扱い始めたしね」

チムニー:「やっべー、肉を売ろうとしたけど、海鮮系の『はなの舞』が当たっちゃったよ、どうすんだコレ。とりあえず上場して、親会社の顔をたてておこう」

三菱商事:「米久は俺たちのファミリーに入ったから。海鮮系だか何だか知らんが、肉を売れ、肉を。今すぐにだ」

チムニー:「いや、もう無理っす。カーライルっていう洒落た外人さんが手を貸してくれるっす」

三菱商事:「お前を育てた米久に恩義ってもんはねぇのか」

チムニー:「だって、海鮮居酒屋の売上すごいし。カーライルって名前もカッコよくね?」

カーライル:「成長戦略の柱はコントラクト事業です」

チムニー:「は? 街なかでティッシュ配るあれ?」

カーライル:「コンタクトではありません。官公庁の食堂に入り込むのです。安定的な食材供給と売上が見込めます」

チムニー:「はえー、さすがや」

カーライル:「そろそろチムニー氏も育ったし、どなたか買いませんかね?」

やまや:「ウチが買いましょう。アルコールの消費先拡大にちょうど良さそうだ」

チムニーは食材やアルコールを消費してくれる、卸先としての扱いが大きかったのです。