河野太郎新型コロナウイルスワクチン接種担当相は、民放テレビ局の番組で新型コロナウイルス用ワクチン開発について「日本でも4社が独自のワクチン開発を行っている。条件をクリアして、早くいけば年内にもというところがあるように聞いている」と述べた。
国産ワクチン一番乗りとなる企業名やワクチンの種類などの詳細は明らかにしていないが、河野大臣が言及することで、ようやく国産ワクチンの承認にめどがついたと言えそうだ。
ただ安倍晋三前首相が2020年5月にも新型コロナウイルス感染症治療薬としてアビガンが承認される見通しだと語ったものの、いまだに承認はされていないこともあり、承認が先送りされる可能性は否定できない。
ワクチンを開発中の4社とはどこなのか。またここから抜け出す1社とは?
日本企業で新型コロナウイルスワクチンの臨床試験に入っているのは、アンジェス<4563>、塩野義製薬<4507>、第一三共<4568>、明治ホールディングス<2269>傘下のKMバイオロジクス(熊本市)の4社。
河野大臣が「日本でも4社が独自のワクチン開発を行っている」としたのはこの4社であることは想像に難くない。このうちの1社が早ければ年内にも承認される見通しというわけだ。
4社の内、先頭を走るのはアンジェスで、同社は2021年3月10日に第2/3相臨床試験のワクチン接種を完了したと発表しており、今後、数カ月間の経過観察期間を経て、安全性と免疫原性(免疫応答を引き起こす能力)の評価を行うとしている。
次いで臨床試験の開始が早かったのが塩野義製薬で、同社は2020年12月16日に第1/2相臨床試験に着手しており、現在も臨床試験中。第一三共とKMバイオロジクスは2021年3月22日に、国内第1/2相臨床試験を始めたばかりといった状況。
このため通常の臨床試験や審査が行われるのであれば、河野大臣が年内にも承認が見込めるのはアンジェスということになりそうだ。
そのアンジェスは2021年4月16日に公表したオンライン会社説明会で、新型コロナウイルスワクチンはいつ頃できるのかとの質問に対し「国のプロジェクトになっているため、当社の恣意で決められるものではない。国が判断して当社に伝える形になる」と回答している。