なぜ今ごろ?新型コロナ治療薬「アビガン」の第3相臨床試験始まる

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富士フイルム富山化学(東京都中央区)は2021年4月21日に、インフルエンザ治療薬としての承認を得ている「アビガン」の、新型コロナウイルス感染症患者を対象にした新たな第3相臨床試験を国内で始めたと発表した。

アビガンは安倍晋三前首相が、新型コロナウイルス感染症治療薬として2020年5月中の承認に言及していたが、承認は見送られ、その後アビガンが話題に上がることが減っていた。

10月になって富士フイルム富山化学が、アビガンの製造販売承認事項に、新型コロナウイルス感染症に係る効能・効果、用法・用量を追加する変更承認申請を厚生労働省に行っていたが、12月に承認が見送られ、現在は継続審議となっている。

今回の臨床試験は、継続審議に必要なアビガンの有効性や安全性を検証するためのもので、ここでのデータを基に厚労省が再度承認の審議を行うことなる。

安倍前首相が1年近く前に言及したにも関わらず、「なぜ今ごろ」との感は否めない。新型コロナウイルス感染症治療薬としてアビガンを使用できるようになるのは、まだまだ先のことになりそうだ。

重症化防ぐ治療法の確立を

今回の臨床試験は、発熱などの症状発現から72時間以内で、基礎疾患や肥満などの重症化リスク因子を持つ50歳以上の新型コロナウイルス感染症患者が対象で、 医師、患者双方に投与する薬剤が実薬か偽薬(プラセボ)かを、知らせずに実施する二重盲検プラセボ対照試験法で行う。

高齢患者の多くが重症化し、軽症者でも基礎疾患や肥満などの重症化リスク因子を持つ患者が、急速に悪化するケースが多数報告されていることから、重症化を防ぐ治療法の確立を目指すという。

同社は2020年3月に非重篤な肺炎を持つ患者を対象としたアビガンの第3相臨床試験に着手。同試験では症状(体温、酸素飽和度、胸部画像)の改善やウイルスの陰性化までの時間が、偽薬の投与群が14.7日だったのに対し、アビガン投与群は11.9日との結果が得られていた。

この結果を踏まえて、アビガンの製造販売承認事項の一部変更承認の申請を行ったが、このデータでは不十分と判断された。

アビガンは新型インフルエンザウイルスなどに対応するために開発された薬剤で、動物実験では妊娠中に薬物を服用した時に胎児に奇形が起こる危険性が認められており、人でも奇形の危険性が否定できないことから、妊婦や妊娠している可能性のある女性に投与することが禁じられている。

アビガンは2014年に国内で製造販売承認を取得し、現在は国が備蓄している。新型インフルエンザウイルス感染症などの治療に必要と国が判断した場合にのみ、患者への投与が行われる。

文:M&A Online編集部

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