クリエイト・レストランツ、創業社長退任で立て直しなるか?

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グループ会社のSFPホールディングスが運営する「磯丸水産」

クリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>代表取締役社長の岡本晴彦氏が5月27日付で退任となります。後任は専務取締役の川井潤氏。岡本氏は東京大学卒業後、三菱商事<8058>に入社。グループ会社の日本ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)に出向した後、三菱商事に戻りスープストックトーキョー(目黒区)の業態開発に従事し、三菱商事在籍中にクリエイト・レストランツを立ち上げた飲食業界のトップランナーです。

同社は新型コロナウイルスの感染拡大、度重なる緊急事態宣言による時短営業や休業要請で業績は急悪化。減資をやむなくされ、創業者の岡本氏は経営から一線を退くこととなりました。

新代表となる川井氏は日本興業銀行出身で、みずほホールディングス傘下の旧3社統合(興銀・第一勧業銀行・富士銀行)に携わった経験を持つファイナンスや金融のエキスパートです。当面は資金繰りや子会社の再編に注力すると考えられます。

この記事では以下の情報が得られます。

・クリエイト・レストランツの業績
・新たな経営陣の顔ぶれ
・業績悪化の要因

新たな経営陣で迅速な経営改革を

社長交代に伴って経営陣の顔ぶれも変わりました。伊藤忠商事<8001>出身でサンマルクホールディングス<3395>の取締役を務めた島村彰氏が取締役から常務取締役に昇進。岡本氏と同じ三菱商事で経験を積んだ後にクリエイト・レストランツに入社し、経営企画部統括マネージャーとして岡本体制を支えた執行役員の大内源太氏が取締役に就任しました。

同社はこれまで買収を繰り返し、飲食の専門家ともいえる経営者を次々と迎え入れましたが、新体制の役員はホールディングス本体の陣営で固められています。

その背景には、大規模な資金調達や子会社の再編が必要なため、本社主導で迅速な経営改革を進めたいという意図が潜んでいると考えられます。

資本性ローンで150億円を調達するも自己資本比率は低下

クリエイト・レストランツは売上高に当たる2021年2月期の売上収益が前期比46.6%減の744億2,500万円、営業損失を141億1,800万円計上しました。純損失額は138億7,400万円となっています。

2021年2月に永久劣後ローンによって150億円を調達し、株価は1月5日の安値562円から2月5日には918円の高値まで63.3%上昇しました。しかし、業績悪化を受けて失望売りが加速し、株価は4月21日につけた安値710円まで22.7%下落しています。

同社は2020年2月末時点の自己資本比率は16.0%でしたが、150億円を調達した後の自己資本比率が14.3%と悪化してしまいました。資本性ローンによる巨額融資を受けてもコロナによる損失を補填しきれていないのです。

買収を繰り返すごとに営業利益率は悪化

クリエイト・レストランツは買収を成長戦略の要としていました。それによって、売上収益は拡大していたものの、営業利益率は2018年2月期を境に悪化していました。

2018年はイクスピアリの飲食事業、シンガポールライスのルートナインジー(品川区)、ごまそばの遊鶴(札幌市)を子会社化。2019年にうどんそばの木屋フーズ(中央区)、居酒屋のジョースマイル(熊本市)、から揚げ店のクルークダイニング(安曇野市)、和食レストランのいっちょう(太田市)を傘下に収めていました。業態、規模を問わずに買収を繰り返していたのです。これをグループ連邦経営と呼び、成長戦略の柱に位置付けていました。手あたり次第ともいえる規模の拡大が、少しずつ利益率の低下を招いていたともいえます。

■クリエイト・レストランツ・ホールディングス業績推移(単位:百万円)

2018年 2019年 2020年 2021年2月期
売上収益 116,567 119,281 139,328 74,425
営業利益 6,413 3,975 3,483 -14,181
純利益 2,501 1,321 1,278 -13,874
営業利益率 5.5% 3.3% 2.5% -
純利益率 2.1% 1.1% 0.9% -

決算短信より筆者作成

そして、ポストコロナに強い業態が少なかったために、2021年2月期の売上収益は50%近く減少してしまったのです。

テイクアウト商品の投入やゴーストレストランも開始(画像は決算説明資料より)
テイクアウト商品の投入やゴーストレストランも開始(画像は決算説明資料より)

同じく買収を繰り返して拡大してきたコロワイド<7616>は、2021年3月期の売上収益が1,678億2,600万円となり、前期比28.7%減での着地となりそうです。コロワイドは焼肉店や回転ずしなど、コロナに強い業態を持っていたため、クリエイト・レストランツほどの打撃は受けませんでした。

コロワイドは需要回復を待つ姿勢が鮮明になっていますが、クリエイト・レストランツはコロナに強い業態への転換を進めなければなりません。

目先では合理化に向けた再編を進めています。イタリアンレストランを展開するイートウォークとルモンデグルメは合併し、新会社LG&EWとなりました。カフェ運営のクリエイト・ベイサイド、木屋フーズが、高級寿司店を運営するクリエイト・ダイニングに吸収されています。

クリエイト・レストランツは、買収で積み上がったのれんも重荷になっています。

2021年2月末時点で230億円。純資産の98.8%を占めています。新常態に合わせた利益が出る体質へと早期転換が図れなければ、のれんの減損損失も視野に入ります。川井新体制は難易度の高い舵取りが求められます。

文:麦とホップ@ビールを飲む理由

麦とホップ @ビールを飲む理由

しがないサラリーマンが30代で飲食店オーナーを目指しながら、日々精進するためのブログ「ビールを飲む理由」を書いています。サービス、飲食、フード、不動産にまつわる情報を書き込んでいます。飲食店、宿泊施設、民泊、結婚式場の経営者やオーナー、それを目指す人、サービス業に従事している人、就職を考えている人に有益な情報を届けるためのブログです。やがて、そうした人たちの交流の場になれば最高です。

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