老舗洋風レストラン「日比谷松本楼」、三井不動産の関連会社に

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日比谷松本楼の本店(日比谷公園内)

東京のど真ん中にある日比谷公園。緑のオアシスの一角にたたずむのが老舗洋風レストランとして名高い日比谷松本楼だ。1903(明治36)年に日本初の洋式公園となる日比谷公園の開園に合わせて創業し、120年近い歴史を持つ。その日比谷松本楼が三井不動産の関連会社となった。

エリアの魅力発信に欠かせない“ピース”

三井不動産が日比谷松本楼に出資し、業務提携したことを発表したのは3月末。出資額や出資比率は非公表だが、「関連会社化」したとしている。このため、出資比率は少なくとも20%超とみられる。併せて、三井グループの迎賓施設である綱町三井倶楽部(東京・三田)から取締役を日比谷松本楼に派遣した。

三井不動産は2018年3月に再開発事業として大型複合ビル「東京ミッドタウン日比谷」を開業。これに続いて隣接する内幸町地区で帝国ホテル東京を中心とした再開発を計画している。このエリアのランドマークである日比谷公園を含めた一体的な街づくりの上で欠かせないピースが日比谷松本楼だったといえる。

日比谷松本楼の歩みは歴史と文化に彩られている。明治のその昔、「松本楼でカレーを食べてコーヒーを飲む」ことが大流行したという。文豪・夏目漱石や「智恵子抄」の高村光太郎ら多くの文人の憩いの場所となり、その作品の舞台ともなった。

「東京ミッドタウン日比谷」(左)、中央手前は建て替えが予定される「帝国ホテル東京」

中国との歴史的な交流の舞台にも

小坂文乃現社長の曽祖父である梅屋庄吉は日活の前身、「日本活動写真」の創業者の1人。映画事業で財を成し、日本に亡命していた孫文の中国革命を支援した人物として知られる。2008年に中国の胡錦涛国家主席(当時)が来日した際は福田康夫首相(同)主催の歓迎夕食会が開かれるなど、日比谷松本楼はいくどとなく歴史的な舞台となっている。

1973年以来、毎年9月25日に開かれる「10円カレー」のチャリティーセールも風物詩として定着している。ただ、昨年は新型コロナウイルス感染の拡大防止に配慮し、中止された。

日比谷松本楼は公園内の本店をはじめ、東京ビッグサイト店、東大工学部2号館店、学習院大店、立教大店、杏林大病院店の都内6店舗と、横浜市内に1店舗(ジョイナス店)の計7店舗を展開する。

コロナ禍で経営環境は厳しさを増す

新型コロナ禍の影響で飲食店は休業や営業短縮を余儀なくされ、一様に厳しい経営状況に置かれており、日比谷松本楼といえども例外ではない。各地で名店の廃業も相次いでいる。そうした中、三井不動産は資本参加を通じて手を差し伸べる形となった。

日比谷松本楼の小坂文乃社長は「次の100年、日比谷公園とともに日比谷松本楼を残していくことを考えた。これからの日比谷公園・日比谷エリアを三井不動産とともに発展させていけることを楽しみにしている」とコメントしている。

連携施策の第一弾として、4月29日から始まる今年の「Hibiya Festival2021」(観劇の祭典、5月16日まで)では日比谷松本楼が「まちなか劇場」の会場となり、「東京二期会 緑のオペラステージ」を開く。

文:M&A Online編集部

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