先行き見えない「居酒屋」相次ぐ赤字転落や経営破たん

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写真はイメージです

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、居酒屋が苦境に追い込まれている。「庄や」などを運営する大庄<9979>は4月14日に、2021年8月期に50億円を超える営業赤字に陥る業績予想を公表した。営業赤字は2年連続で、前年度の2倍近くにまで赤字が拡大する。

同日に決算発表を行った「磯丸水産」などを運営するSFPホールディングス<3198>も、2022年2月期の営業損益がゼロとなる見込み。同社は前年度に50億円を超える営業赤字だったため、回復の兆しが見えるもののトントンにまで戻すのが精一杯といった状況だ。

他の居酒屋チェーンも同様の傾向にあり「和民」などを展開するワタミ<7522>の2021年3月期は、営業赤字が100億円近くに達するほか、「はなの舞」などを展開するチムニー<3178>も同期の営業赤字が70億円近くに、「酔虎伝」などを展開するマルシェ<7524>も同期の営業赤字が10億円ほどに達する見込み。

東京商工リサーチによると、2020年度(2020年4月~2021年3月)の居酒屋の倒産(負債1000万円以上)件数は175件で、2001年度以降の20年間では、2019年度(149件)を上回り過去最多となった。

人手不足や人件費の高騰などによる経営悪化に、コロナ禍に伴う休業や営業時間の短縮要請などが加わったことから倒産が急増したという。

同社では新型コロナウイルスの影響で「倒産の増勢が続く可能性が高い」としており、居酒屋の苦境は、この先もまだまだ続きそうだ。

「庄や」「磯丸水産」「和民」「はなの舞」「酔虎伝」が赤字に

大庄は新型コロナウイルス感染症が業績に与える影響を合理的に算出できないとして、2021年8月期の業績予想を未定としていたが、4月14日に営業赤字が前年度の33億1100万円を大きく上回る59億1000万円に達すると発表した。

経常赤字も前年度を上回る57億4000万円に、当期赤字は20億円ほど減少するものの43億2000万円となる見込み。デリバリー、テイクアウト事業の強化や経費削減、さらにはカラオケ事業の売却(直近の営業損益は2億4000万円の赤字)などを実施するものの、大幅な赤字は避けられない見込み。

【大庄の業績推移】単位:億円、2021年8月期は予想

2019年8月期 2020年8月期 2021年8月期
売上高 610.32 448.27 404.00
営業損益 7.34 △33.11 △59.10
経常損益 8.05 △32.53 △57.40
当期損益 1.50 △63.08 △43.20

SFPホールディングスは2022年2月期については「継続的な営業時間の短縮要請があるものの、下期から売上高が徐々に回復する」とみており、同期の営業損益はゼロにまで持ち直すと予測する。

2021年2月期は新型コロナウイルスの影響で売上高は前年度の半分以下の174億2800万円に留まり、営業損益は53億3900万円、経常損益は49億円、当期損益は56億5000万円の赤字に転落している。

【SFPホールディングスの業績推移】単位:億円、2022年2月期は予想

2020年2月期 2021年2月期 2022年2月期
売上高 402.16 174.28 250.00
営業損益 25.49 △53.39 0.00
経常損益 29.14 △49.00 5.00
当期損益 14.61 △56.50 0.00

ワタミは2月12日に、それまで未定としていた2021年3月期の営業損益が99億5700万円の赤字になると発表。チムニーは2月15日に、2021年3月期の営業赤字が68億円に達する見込みであると発表した。マルシェは2月12日に2021年3月期の営業損益が9億5600万円の赤字となる従来予想をそのまま据え置いた。

文:M&A Online編集部

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