3番目の新型コロナ治療薬「バリシチニブ」ってどんな薬?

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米国の大手製薬会社イーライリリー(インディアナ州)の関節リウマチ治療薬「バリシチニブ」が、国内3番目の新型コロナウイルス感染症の治療薬として承認される見通しとなった。

厚生労働省の専門部会が2021年4月21日に、新型コロナウイルスの治療薬として承認することを了承したもので、最初の治療薬としてすでに承認を得ている抗ウイルス薬「レムデシビル」と併用して投与することで、酸素投与が必要な中等症から重症の肺炎治療薬になるという。

バリシチニブとはどのような薬剤なのか。

炎症や関節破壊を抑える薬剤

バリシチニブは関節リウマチやアトピー性皮膚炎の治療で使われるJAK阻害剤(細胞内の酵素の一つであるJAKの働きを抑えることで、炎症や関節の破壊を抑制する薬剤)で、中等度、重度の関節リウマチを有する成人向け治療薬としては、米国を含む70カ国以上で製造販売承認を得ている。

日本では2017年から「既存治療で効果不十分な関節リウマチ」の治療薬として承認されており、2020年には「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」の治療薬としても追加の承認を得た。

米国食品医薬品局(FDA)が2020年11月に、酸素吸入や人工呼吸管理、体外式膜型人工肺(ECMO)などを必要とする新型コロナウイルス感染症の入院患者に対するレムデシビルとの併用によるバリシチニブ投与について、緊急使用を許可した。

イーライリリーによると「世界で20万人を超える患者が新型コロナウイルス感染症の治療を目的として、バリシチニブの投与を受けたと推定される」としている。

レムデシビル、デキサメタゾンが先行

日本では2020年5月にレムデシビルが、同7月にデキサメタゾンが、症状の重い患者向けの新型コロナウイルス感染症治療薬として承認されている。

レムデシビルは米国のバイオ医薬品メーカーのギリアド・サイエンシズ(カリフォルニア州)が、10年以上前に開発したDNAやRNAを構成するヌクレオチドの類似体で、ウイルスが増殖の際に必要とするRNA合成酵素(RNAポリメラーゼ)の働きを抑制することで増殖を抑える。新型コロナウイルス感染症の回復までの時間の短縮や、疾患の進行の抑制などが確認されている。

デキサメタゾンは1960年代から使用されているステロイド系の抗炎症薬で、英国で行われた試験では、重症な患者の致死率を低下させたとの報告がなされている。

2020年10月に新型コロナウイルス感染症で入院中だった、米国のトランプ前大統領が、レムデシビルとデキサメタゾンを併用したことが知られている。

文:M&A Online編集部

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