トヨタが自動運転事業を買収した「リフト」って、どんな会社

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トヨタ自動車<7203>が2021年4月26日、子会社のウーブン・プラネット・ホールディングス(東京都中央区)を通じて米配車大手リフトの自動運転部門を約5億5000万ドル(約600億円)で買収すること発表した。このリフトとは、どんな会社なのか?

ウーバーを追うリフトは「本業集中」

リフトはサンフランシスコに本社を置く、2012年設立のスタートアップ企業。当初はフェイスブックを介した長距離相乗りのマッチングサービスを提供していた。個人情報を開示するフェイスブックを介することで、ドライバーや相乗り客が「知らない人と同乗する不安」を回避できたからだ。

2013年には課金システムやドライバーと乗客がお互いを5段階で評価するシステムを導入し、シェアライドサービスを本格的に展開する。同業の米ウーバー・テクノロジーズは2011年にサンフランシスコで正式なサービスを始めているので、リフトは2年遅れの参入となった。

先行したウーバーの方が規模は大きい。リフトの時価総額はウーバーの5分の1以下だ。リフトは北米市場でサービスを展開しているが、ウーバーはすでに日本を含む世界63カ国に進出している。

規模の格差があるにもかかわらず、リフトの存在感が小さくないのは財務体質にある。ウーバーはライドシェア以外の新規事業に積極的で、自動運転車やドローンを使った空飛ぶタクシーなどの開発コストがかさみ、2020年12月期の純損益は9億6800万ドル(約1050億円)の赤字となっている。

一方、リフトはウーバーのような新規事業の展開を極力控え、主力のライドシェア事業に注力。2021年末までに調整後EBITDA(利払い前・税引き前・償却前の利益)が黒字転換する見通しだ。リフトの数少ない新規事業の一つが、今回トヨタに譲渡する自動運転部門だった。

自動運転部門の事業売却が伝えられると、リフト株は同日の米NASDAQ市場の時間外取引で一時2.4%上昇した。リフトは今回の事業譲渡で売却益に加えて、年間1億ドル(約108億円)の営業経費を削減できるという。

北米の配車サービスに特化し、黒字転換が見えてきたリフト(同社ホームページより)

ウーバーも2020年12月に自動運転開発を手掛ける子会社のATGを、米アマゾン・ドット・コムなどが出資する同業の米オーロラ・イノベーションに売却した。ドライバーコストを削減できると期待されている自動運転技術だが、ライドシェア大手2社からは見切りをつけられたようだ。

文:M&A Online編集部

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