スポーツクラブ各社は東京都、大阪府、京都府、兵庫県の4都府県に緊急事態宣言が出たのを受け、当該エリア内の店舗について休業体制に入った。宣言初日の4月25日は大半のクラブが「周知期間を設ける」などとして通常通りに営業し、週明け26日も対応が一部分かれた。セントラルスポーツは最も遅く29日から休業とする。これにより、床面積1000平方メートルを超えない比較的小規模の店舗を除き、休業が対象の全店舗に及ぶ見通しだ。
コロナ禍による臨時休業はおよそ1年ぶり。スポーツクラブ各社は新年度の出鼻をくじかれ、業績回復の芽が一層遠のく格好となった。
2020年4月、2021年1月に次ぐ3度目の緊急事態宣言が4都府県を対象に決定したことで、スポーツクラブ各社は週末、当該エリアの店舗における営業内容について検討に追われた。
主要クラブの中で唯一、宣言期間初日の25日から営業を終日取りやめ、臨時休業に入ったのが大阪ガス傘下で関西を地盤とするコ・ス・パ。対象店舗は大阪府17、京都府5、兵庫県2の計24店舗(テニス、スイミングスクールも含む)。ただ、系列の24時間営業ジム「FITBASE24」は床面積が1000平方メートルを超えないため、営業を継続する。
メガロス(野村不動産系)は25日20時をもって休業に入った。JR東日本系のジェクサーは対象15店舗のうち、25日から駅ビル内などの5店舗を先行して実施した。26日からはティップネス(日本テレビ系)、東急スポーツオアシス(東急不動産系)、ホリデイスポーツが追いかける。
業界大手3社はどうか。コナミスポーツ(コナミホールディングス傘下)、ルネサンスは4月27日から休業を決めた。細かくいえば、コナミスポーツは26日20時で同日の営業を早めに切り上げ、休業に入る。
一方、セントラルスポーツは29日(昭和の日)からの休業を決めたが、情報開示の点で対応の遅れは否めない。日曜から月曜に日付が替わった26日0時時点でもHP(ホームページ)には「対応内容が決定するまでは現状の営業を継続して参ります」とのアナウンスがあるだけ。他クラブが続々休業を発表する中、セントラルの利用者にとって一時的とはいえ、情報不足は明らかだった。
ゴールドジム、スポーツクラブNAS(大和ハウス工業系)も27日から休業を実施する。
スポーツクラブ各社が近く発表する2021年3月期業績は過去最悪が続出する見込み。1年以上に及ぶコロナ禍の影響で売上高に直結する会員数が大きく減っているうえ、2度の緊急事態宣言による休業や営業時間短縮が加わり、赤字がかさんでいる。こうした中、コナミスポーツは2月末の9店舗に続き、5月末に16店舗の閉店に踏み切る。
今回の緊急事態宣言の期間は5月11日まで。コロナ感染の行方次第で宣言解除が先送りされる事態になれば、店舗リストラのうねりが勢いを増し、スポーツクラブ業界全体が市場縮小という形の負のスパイラル(連鎖)に陥りかねない。
◎主要スポーツクラブ:4都府県での臨時休業の状況(~5月11日)
コナミスポーツ | 4月26日20時~ |
セントラルスポーツ | 4月29日~ |
ルネサンス | 4月27日~ |
ティップネス | 4月26日0時~ |
東急スポーツオアシス | 4月26日~ |
ゴールドジム | 4月27日~ |
メガロス | 4月25日20時~ |
スポーツクラブNAS | 4月27日~ |
ジェクサー | 4月27日~(一部施設は25日~) |
ホリデイスポーツ | 4月26日~ |
コ・ス・パ | 4月25日~ |
文:M&A Online編集部
これが、M&A(企業の合併・買収)とM&Aにまつわる身近な情報をM&Aの専門家だけでなく、広く一般の方々にも提供するメディア、M&A Onlineのメッセージです。私たちに大切なことは、M&Aに対する正しい知識と判断基準を持つことだと考えています。M&A Onlineは、広くM&Aの情報を収集・発信しながら、日本の産業がM&Aによって力強さを増していく姿を、読者の皆様と一緒にしっかりと見届けていきたいと考えています。